第74話 武器の製作

倉庫で素材鑑定のスキル全開で興奮状態の俺、クルトンです。



デデリさん、フンボルトさんとの話が終わり宿屋に帰って武器の選定をしようと考えを巡らせていた時、話の途中から修練場に現れたアスキアさんから声を掛けられました。


「こんにちは、クルトンさん。お時間少しよろしいでしょうか」

はい、ああアスキアさん。こんにちは。

何でしょうか。


「頼まれていた金属の件、準備できておりまして運ぶだけなのですがどうしましょうか。カサンドラ工房に送る前に一度ご覧になられますか?」

おお、見せてください、お願いします。


いつがよろしいですかと聞かれたので4日後に騎士団の公開練習に参加するのでそれより前が良いですと伝えると。

「今からでも構いませんがどうなされます?」


ぜひお願いします。


警備が厳重な資材置き場の倉庫に連れていかれ中に入る。

ヒヒイロカネ、アダマンタイト、オリハルコン・・・初めて見ました。

早速鑑定で間違いない事を確認。


それぞれ重量は10kg位づつ。

比重の関係でアダマンタイトが他の金属よりかなり小さい、ぱっと見だけど。


精錬はカサンドラ工房に戻ってからですが、ここで見る限り加工に問題は無いように感じます。

お伽話のオリハルコンの杖でもレプリカなら出来るんじゃなかろうか。


有難う御座います。

早めに見る事が出来て良かったです。

「それは良かった、それで腕時計の進捗はいかがでしょうか?」


気になりますよね?

と俺の左腕の袖を捲り上げ手首にまかれている腕時計を見せる。

魔獣討伐の後、急いでバンドの歪みと内部機構の分解再調整を行い、未だ耐久試験継続中です。


「これが、腕時計・・・」

武骨な銀色に輝く総ステンレス製の時計をアスキアさんが凝視します。


これは姫様用の品物作るうえでの試作検証品です。

いま耐久試験中で俺がずっと装着しています。


「これは緻密な、一番細い常に動いている針は?」

秒針です。

必要ないかもしれませんが製作できる最上級の物を準備したかったので組み込みました。


「声も出ませんね、想像以上です」


基本的な検証は既に完了しています。

材料の準備と選定が済めば制作に取り掛かれる段階です。

チェルナー姫様用の品物はもっと小さく軽く意匠も凝らしますので期待していてください。

それを聞いたアスキアさんはニッコリ笑って「お願いします」と一声言った。



さて、武器を調達しなければ。

そうはいっても見栄えが良ければなんでも良いらしいので作ってしまおうと思う。

作りたい武器を。

異世界ファンタジーお約束の日本刀・・・は無しだな。

作りたくはあるが日本刀に限らず刃が付いている武器は却下。

加減ができない。

絶対に殺してしまう・・・となると刃がついていなくても金属武器はすべて却下だな。



・・・杖で良いんじゃね。

前世では杖術ってのが有る位だし問題ないように感じる。

赤樫を使って俺の胸当たりまでの棒を作れば問題なかろうて。


適当って訳でもないが俺の身体能力で振り回せばそれなりに形にもなりそうだし。


そうと決まれば木材を調達しに行こう。




そうしてきました王都宝飾ギルド本部。

木工工房の場所を聞きにお邪魔します。

ポックリさんの所にも一度寄ったんだが、また商隊の一員として都市外に出ていたのでそのままお暇した。


そのまま受付の人に向かい木工工房、又は木工ギルドの場所を聞きます。

本日は受付には以前いたサリス嬢ではなく別の人がいました。

「すみません、カサンドラ宝飾工房所属のクルトンですけど、ここの木工工房か木工ギルドの場所を知りたいんですけど」


「はい?ええ、木工ギルドですか。それでしたらこの地図の・・・」

机の引き出しから地図を出し説明してくれる。


うん、意外と近いね、すぐ行ってみよう。




やってきました木工ギルド。

サクサクいきますよ。


ドアをくぐり真っすぐ受付へ。

この辺はどのギルドも似通っているんだろうな、ドア入ってすぐに左側に受付カウンターがあってちょっと質問する。


「宝飾ギルド所属のクルトンと申します。

個人で使用したい木材を入手したいんですがどこで購入できるか教えてほしいんですけど」


「量にもよりますがどの程度必要になりますか?」

赤樫を1本、2m位有ればいいんですが。


「それでしたら小売店で問題無いでしょうから店を紹介しますね」

有難う御座います。


なんかゲームのお使いクエストの様な感じ。

次は木材の小売店へ行こう。



店に来た。

前世の工務店みたいな感じの佇まいで脇の倉庫に見本らしき木材が並んでいる。

「こんにちは」と店番していた人に事情を説明、赤樫が欲しいと告げると倉庫の陳列棚まで案内してくれた。


「これが当店で扱っている赤樫だ」

フム、悪くない。

王都に店を構えるだけあって店自体大きくはないものの品物に間違いないようだ。


一番良さそうなものを1本(半加工品の様で少々太め)選び支払いを済ませる。


ムーシカに積むと道の交通に影響与えてしまうので俺が立てた状態で持ち王城内修練場まで戻った。


これから杖を加工、使い心地を確かめよう。

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