第55話 ミスリルの話をしよう
昨日はあれだけのミスリルを見れて得した気分の俺、クルトンです。
今はコルネンに向け馬上の人としてゆっくり・・・な気分なんですがスレイプニルなので実際は結構な速さで進んでいます。
ここでミスリルの話をしようと思います。
宝飾ギルドのシズネル本部長から教えてもらった。
まず魔獣から採れるミスリルと鉱山から採れるミスリルには特性で違いがある。
どちらもミスリルには違いないそうなんですが・・・
鉄も含めこの世界での特性を確認してみよう。
【鉄】
一般的な金属の代表。
重量ベースで産出量は金属類で一番多く、その分金属の中では安価な部類。
日用品からインフラ設備、武器、防具まであらゆる物に使用され、合金の母材になる事も多い。
合金のし易さからも分かる様に他金属との親和性が高いのも特徴の一つ。
【魔獣由来のミスリル】
抽出した時点で魔素を潤沢に含んでいる。
手に入れる方法がかなり限定的で魔素、魔力との親和性がとても高い。
見た目は少し黒みがかった光沢のある銀色の金属で、鉄に非常によく似ているが魔力を通すと淡く発光する。
戦略物資に位置付けられる金属で、魔銀と呼ばれる場合はこのミスリルの事を指す。
特に武器、鎧の金属素材に触媒として添加すると刻印されている魔法陣や発動させる魔法の効果を底上げしてくれる謎金属。
強度は鉄に劣るがその分軽く、先の特性からゲームで言うところの魔法陣等のバフ効果の向上、継続時間の延長を可能にする。
これを使って仕立てた武具一式はとても高価ではあるが、体内魔力の総量が多い騎士にとっては前世で言う特撮戦隊もののパワースーツの様な効果をもたらすチート装備となる。
【鉱山由来のミスリル】
魔獣由来のミスリルほどでは無いが此方も希少金属。
青みがかった銀色で宝飾品として見栄えする光沢が出せる、魔銀との区別の為青銀と呼ばれる。
大きな違いは魔素を全く含んでいないミスリルという事。
これにより魔銀の様なバフ効果は発揮できないが、これの真価はそこでは無い。
魔法、魔力の影響を一切受けない金属で、例えば精神干渉系の魔法を防ぐためにこのミスリル製のネックレス、ティアラを身につける貴族もいる。
精錬するだけである種のディスペル効果を発揮する唯一無二の金属で純度を上げる毎にその効果は高まる。
極大魔法陣で張った防御壁なんかあったとしても純度を上げたこのミスリル製鏃の矢で飽和攻撃したら秒で崩壊するという使い方もできるそうな。
コスト度外視だけど。
なのでこちらも戦略物資扱い。
教えてもらってよかった。
姫様の腕時計にもミスリル使えそう。
幸い魔銀は精錬すればあるし青銀ももらえるし。
来たかいがあったな。
他の鉱山からのサンプルも早々にコルネンに届いてくれれば仕事の見切りもし易いんだが、それは運に任せるしかない。
それでミスリルが有るってことはその他のファンタジー金属も存在するのか王都にいた時にシズネル本部長に聞いてみた。
オリハルコン
ヒヒイロカネ
アダマンタイト
どれも有るそうだがヒヒイロカネ以外は精錬、加工する技術が失われている事と採掘量も少ない為に王都にすべて集められて保管されている。
何の鉱石かの判別方法とその特性は来訪者からの知識がまだ伝わっていて判明しているそうな。
マクアイヤ鉱山長にも聞いたら同じ認識。
ヒヒイロカネ
深紅の鉄鉱石と言った外見で採掘される。
復元力が一番の特徴、平たく言えばバネの性質が強い。
鉄のように熱処理で性質が変化する事は無く、それでいて比べるべくもない程の高い復元力。
かといって柔らかいわけでもなく高い硬度も持ち合わせているという金属。
レイピアや槍、ハルバードの柄などポールウェポンには最適で、弓にも使えるとか。
弦に使用するワイヤー含めヒヒイロカネを使用した弩砲(バリスタ)の威力は凄まじく、小型の物でも工具を使用しても人間で弦を引くのには無理が有る為、牛を使って引くのが一般的だそうだ。
鉄よりは融点は高いが、まだ加工できるレベル。
アダマンタイト
とにかく硬く重い金属。
艶の無い黒い結晶の状態で採掘される。
硬すぎて冷間鍛造できないが、かといって今の世では加工する為の融点に持っていけない為に活用できていない金属。
言い伝えでは、とある魔獣はアダマンタイトで作った斧でないと倒せないと言われていた為に廃棄せずに保管してある。
たまに投石機のウェイトで使用することが有るくらい。
オリハルコン
聖金とも呼ばれ、赤みがかった金色の結晶状態で採掘される。
ミスリルと同じく魔力の親和性が高い金属だが大きな違いは内包できる魔素の量が桁違いな事。
魔素のバッテリーの様な使い方を期待していたが貯めた魔素の取り出し方が解明されておらず宝の持ち腐れ状態。
アダマンタイトと同じ理由で加工も出来ず王城に死蔵中。
言い伝えではこれで作った杖を使って来訪者が魔獣を閉じ込める為の結界を張ったとか。
どれも腕時計に有効活用できそうな金属だったのでヒヒイロカネは市場から仕入れてもらい、アダマンタイト、オリハルコンは国王陛下から下賜してもらう形で手に入れてほしいとアスキアさんに手続きをお願いした。
俺なら多分出来るんですよ、加工。
だってスキルあるから。
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