第48話 謁見、再び

いつも通り朝4時くらいに起床して歯を磨き朝の支度を整えていると兵舎当直の人が来客を伝えてきました。

額にしわが寄っている俺、クルトンです。


「クルトン様、お迎えに上がりました」

アスキアさんがいました。


行く予定ありましたっけ?王城に。


「昨日できました」

ニコリと笑うアスキアさん。

金髪がまぶしい、逆光ですって。


早すぎると思ったのだが陛下の時間が朝しか取れないとの事で、仕方ないなぁ。


鞍も鐙もつけていない牡馬のスレイプニルにまたがり馬車についていきます。

牝馬も仔馬も一緒です。


そこまで混雑はしていませんがスレイプニルのインパクトは絶大で皆こちらを見ています。

そして俺は認識阻害全開です。


で、また謁見の控室・・・の隣の部屋にスレイプニルと一緒に通されました。

謁見の間程ではありませんが大きな扉で中も広い。


「緊急の伝令が馬で王城内を走ってきた際の待機、休憩場所になります」

ほえー、緊急時は王城内馬で走り回れるのか、それで色々大きくて広いのね、でも攻められたときはまずいんじゃね?


「具体的にはお伝え出来ませんが、そのような事態になれば罠を仕掛けれるように通路自体が設計されています」

へー、そうなんですね。足引っかけるだけでも大分違うからねぇ。


「・・・そう言えばクルトン様は狩人でもありましたね」




そうこうしているうちに感じた事のある気配が近づいてきました。

扉が開きあの3人組が現れます。


今日はアスキアさんと俺も跪いて迎えます。



「よいよい、楽にして」

相変わらずの陛下。


「して、クルトンは騎士爵を望んでおるとか」

違います、誰ですかそんなデマ言ってるの?


「スレイプニル連れてきたじゃろ、違うの?」

違いますって、あっ。


フンボルト将軍が

「おお!!これは見事な」

とか言ってズンズン牡馬に近づきましたが体当たりで吹っ飛ばされました。


仔馬生まれたばかりで警戒心MAXなんですから注意してくださいよ。


「今日クルトンを呼んだのは他でもない、そのスレイプニルの事でだ。」

宰相様が話を引き継ぎます。


「まぁ、私も初めて見るがスレイプニルは国への登録が義務付けてあっての、それなりに税金も納めてもらわねばならんので説明しようと思ってな」


ええー、税金かかるんですか。

ってかそれだけで呼び出したんですか、徴税官からの説明で良いんじゃ?。


「・・・そこのフンボルト将軍がどうしても実物を見たいと申してな、噂が耳に入った時からうるさくてかなわんのよ」

そうですか・・・。


「それでだが、成体1頭につき年間大金貨5枚とスレイプニルを活用した事業の売り上げの1割を納めてもらう事になる」

結構持って行くんですね。


「いや、スレイプニルだぞ!そんなはした金すぐ稼げる。何なら騎士団に貸し出せばいい。全部面倒見てやるぞ!!」

はい、ペンちゃんは黙っていてください。

ほら、また吹っ飛ばされた。



しかし、姫様の祝いの品を造る為の材料調達の移動手段に使おうと思ってまして、売り上げの1割ですか。

大金貨50枚持ってかれるんですね、そうかぁ・・・。



「うーんそういう事か。それはちょっと心苦しいいのう」

陛下も眉を下げて同情してくれます。


「ん~、本来私からいう事ではないのだけれどもクルトンの褒美に国内の交通費免除と言うものが有ります。」

そう切り出す宰相さん。

なんでも俺がスレイプニルを使った輸送業でも立ち上げて法人化、それを俺が利用するって話。

個人の俺がスレイプニルを借りて事業に使用、

しかし国内に限り交通費は免除、国が立て替えてくれる、

そして法人の俺の会社に支払われた国からの代金を売り上げとして、その中から税金を支払う、

と言うカラクリ。


しかも王都内での事業立ち上げに限られてはいるが設立費用の『補助金無条件給付許可証』も褒美としてあるから活用してはどうかと。

これ伝えたうえで「設立回数の制限ないしのう」とか言っててエグイ。


結構な褒美だったんだと今更ながら再確認。


・・・けどいいの?そんなことして詐欺とか犯罪になりません。


「問題ない、そもそもその程度の事は想定内だぞ」


ほうほう、それなら甘えさせていただきます。


「はは、程々にな。これについてはあまり目立ってくれるなよ」

と宰相さん。


心得ましたとも。

有難う御座います。



なんだか厄介ごとが少しでも片付いてる実感が有って非常に気分がよろしい。

資金の使い方も含めもう一度ギルド本部長に相談しに行こう。

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