第47話 馬だけが王都に来た(様に見えた)

4日かけて王都に戻ってきました、かなり焦っている俺、クルトンです。


森を抜けてもスレイプニルの親子は俺に付いて来てくれたので一旦背負子に担いでいたオオトカゲを3匹父馬の方に括り付け少々速度を上げて走り出します。



当然仔馬に無理はさせれませんので適当に餌が有りそうな場所、小川の側で休憩を挟みながらの復路になり、往路より時間がかかりました。


シズネル本部長との約束から2日遅れての到着になってしまい、急いでギルドに向かいます。





「おわッ!」

「えっ、ええええ!」

「でっけえ!ってか8本足、スレイプニルじゃねえか!!」

「道を開けろ、跳ねられたら死ぬぞ!!」


申し訳ない、王都プチ混乱中です。

俺が認識阻害そのままに城壁まで近づいたものですからスレイプニルが門に突っ込んできてるように見えたみたいです。


慌てて姿を表し、事情を説明。

混乱中の門付近からギルド前まで衛兵さんに先導してもらうという事態になってしまいました。

ホントすみません。



衛兵さんのご協力のもと無事宝飾ギルドに到着、と同時にサリス女史が飛び出してきました。

先に伝令行ってたようですね。

「厩務員にお任せしてクルトン様は中へ」


はい・・・

牡馬が俺の肘を噛んで放しません、仔馬から離れるなと言ってるんでしょうね。

ちょっと離れるだけだから、その間は厩務員さんが守るからと説得してやっと建屋に入り速攻本部長室です。



「帰ってきたら遅れた理由を聞こうと思ったがそれはもう分かったからいいだろう。途中で連絡する術もなかったようだしね」


ホントすみません。斯く斯く云々、仔馬まで一緒になるとは流石に想定外でして。


「うん、仕方ないね。で、騎士にでもなるの?」

そんな意地悪言わないでください。

分かってるんでしょ、鉱山間の移動の為に捕獲してきたんですよ。

スレイプニルなら王都からコルネンまでだって1日で行けますよ、きっと。


「調教大変なんじゃない?」

・・・そうかもしれませんが。



「まあ、この話はここまでとして、以前の話の続きをしよう」

ここで俺が腕時計を作る事、

それに必要な金属を求めている事、

追加でこの宝石が欲しいという事、

等を伝える。


「普通なら信じられないが、こんな時でもないとやれない仕事だからね、材料集める事しか出来なさそうだが協力する」

有難う御座います。

では早速どの鉱山に向かえばよいか相談したいんですが。



「急いでるのは分かるが一度精肉店に行った方が良いんじゃないか。肉の鮮度もあるし」

ああ、俺としたことが、そうですね、ちょっと始末してきます。


「ああ、また明日来るといい」




精肉卸売施設までやってきました。

スレイプニルの牡馬も一緒ですのでかなり注目されてます。


途中でいくらか食べたので丸5匹分ではありませんが処理をお願いします。

幸い気温がそう高くなかった事と血抜きが完璧だった事、そして何より抜いた内臓の代わりに俺が魔法で作った氷を腹にギッチギチに詰め込んだことで鮮度に問題はありませんでした。


ただ、ここは肉の処理はしますが皮の処理はしないので皮剥ぎは俺がして皮の買い取り業者まで移動します。



ここが革職人街、さすが王都こんなとこも有るんですね。

早速紹介受けてた工房にお邪魔します。

・・・はい、終了。

大蜥蜴の皮、きれいに生皮の状態にしたので1枚平均銀貨15枚、5匹分ですから75枚です。

結構いい値が付きましたね、良かった。


そこから宝飾ギルドに戻ってスレイプニルを引き取り宿へ。

ただ宿は厩舎が無いので弁当に出来そうなものを見繕ってもらい門の側に有る兵舎を利用させてもらい食事、そして就寝しました。

ちゃんとお金も支払ってスレイプニルたちに飼い葉も与えます。


暫く水浴びだったから温泉入りたいなぁ。

もう村が恋しくなったよ。

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