第42話 業
やる気になった俺、クルトンです。
宰相さんからの話、姫様が先祖返りって話しは俄然俺をやる気にさせた。
先祖返り。
該当する人を一人知ってる、デデリさんだ。
『精霊の加護』、完璧ではないにしても精霊への先祖返り。
現在の人類と一線を画す身体能力を持つ人型人工生命体、そこへ届き得る力を持つ人類。
で、今回の姫様の先祖返りはと言うと『古代人』への先祖返り。
こちらは何故か『来訪者の加護』を持つ者と言われる。
理由は分からん。
『古代人』への先祖返りの特徴はと言うと、
寿命は90歳位、長くて100歳。この世界では比較的短命。
身体能力は古代人並み、つまり地球人並み。
それだけでこの世界では脆弱である。
そして地球人並みに毒の影響を受ける、この世界では意外とこれが致命的。
幼少期から聡明で学者や教師を生業にする人が殆ど。
そして決定的に、圧倒的に今の人類より古代人の先祖返りが優れている点、
姫様のように女性であれば・・・
『子供が沢山生める』
宰相さんの話だと生涯で少なくても子供10人は固いそうな。
この『子供が沢山生める』、これだけで人でありながら『古代人の先祖返り』は聖別され誰であろうとこれを害することは許されない。
当然国王であってもだ。
故に平民でも先祖返りが確認されれば王宮に迎えられる。
まあ、この場合は脆弱な個体を保護する意味が強いと思う、大昔は外の環境に耐えられなくて亡くなる子も多かったと言い伝えある位だし。
つまり姫様がこの世界の人類と同じ生活ができる様に俺の魔法付与を施した宝飾品を成人のお祝いに贈りたいと。
腕が鳴ります、王命でもなんでも言ってください。
予算に糸目は付けないんでしょう?
やりたいようにやって良いんでしょう?
「いや、まぁ予算は気にしなくとも良いが・・・人が御しきれるもので頼むぞ、ふりじゃないからな」と陛下。
「本当にお願いします、私からも・・・お願いします」
・・・アスキアさん、なんか切実ですね?これはあれですか、姫様と恋仲とかそんな感じですか?
「本当に聡明じゃのう・・・」
・・・イタイ芸人みたいになってしまった感じがする。
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俺がやる気になったのは予算が潤沢だからって事だけじゃない。
貴族以上に王族は結婚相手の制約を強く受ける。
優れた血を一族に取り入れ続ける、それ故に王族には精霊、古代人の『先祖返り』がある程度の周期で確実に生まれるそうだ。
王族が王族である意義がここにあると言っていい。
古代人の『先祖がえり』を親にもつ子供たちは、気の遠くなるほど長きにわたりその王族の血を平民、国、世界に広め、徐々にではあるが出生率を上げてきたのだろう。
人類の未来を繋ぐために王族が家畜や競走馬のように品種改良され、種族延命のための被検体として扱われるんだ。
この世界ではその業から逃れる術はない。
なら、せめて姫様の健康寿命を延ばす手助けをしたくなるのが普通の感覚だろう?
この世界での俺の力は、こういった事の為に有るんだろうから。
そう思っていた方が幸せじゃないか。
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