第39話 王都の観光もできずに
スッキリな目覚め、今日は王都観光しようとワクワクしている俺、クルトンです。
昨日は宿に帰り直ぐにベッドに潜り込みました。
色々ありすぎたので緊張してたんだろう。
今思えばびっくりするほどすぐに意識がなくなった。
歯を磨き髭を剃ります。
ステンレスをアルミ箔状に引き伸ばし、木の板にムラが無いように貼り付け、そこから鏡面磨きで仕上げた自家製の鏡を使っています。
前世ほどではありませんがこの世界では驚異的な性能です、映った姿が明るく、そして歪んでいません。
もっと材料が有れば木じゃなく無垢の金属で仕上げるんですが贅沢は言ってられません。
一通り支度をして朝ご飯を食べに食堂に向かいます。
昨日貰った手付金で懐はホッカホカなのでたっぷり朝ご飯いただきましょう。
大盛りの朝定食を食べているとテーブルの向こうから話しかけられました。
「クルトン様でいらっしゃいますか?」
え、ハイそうですけど。
「私、近衛騎士団広報部職員のアスキアと申します」
軽鎧を着た青年がそう自己紹介します。
この国では珍しく地球でいうところの白人種。
髪は金髪で瞳はブルー、見るからにイケメンってやつですね。
広報部って事は諜報機関も包括している部門です、フォネル副隊長が教えてくれました。
ああ、ご丁寧にコルネン、カサンドラ宝飾工房所属のクr・・・・。
「早速ですがお迎えに上がりました」
話しかぶせてくるなあ。
ちょっと飯食い終わるまで待っててもらえますか。
「承知しました」
・・・立ってるのも何なんで座っててください。
今のおれはリッチなので追加でアスキアさんのお茶も頼む。
椅子に座ってもらい食事をとりながら質問をする。
それにしても昨日の今日でお迎えだなんて早すぎません?
「事態が急変したものでご容赦を」
いやいや、文句言ってるわけじゃなくてそちらの準備の方が大変だろうに理由は何なのかなと?
「・・・昨日の魔物の件でございます」
声を落としアスキアさんがそう話す。
ああ、ああああ、そうか、そうだよね、俺当事者だしね。
うん、急いで食べて準備します、なんかすみませんね本当に。
やってきました王城へ。
近衛のアスキアさんと一緒に顔パスで馬車がスイスイ進みます。
いつもの格好で来ちゃいましたけど良かったんですかね、さすがに弓とナイフは宿に預けてきたけど。
今の俺の姿は麻で作った淡い藍色の上下と革のベルト、胸には皮の軽鎧に皮の手甲そして膝下までのブーツといった出で立ち。
全部俺のスキルで仕上げた一品物。
「本来こちらで用意したお召し物へ着替えて頂く予定でしたが、先に申し上げました事情で現在の謁見の間は戦時と同じ扱いとなりました。これにより今のクルトン様のお召し物でも全く問題ありません」
これはあれだ、戦時と同等って事は国王陛下含むそうそうたる御仁が行っている作戦会議の場に平民兵士が伝令で「大変です!!」とか言ってドアをバーンして入っても許されるっていうアレだ。
そうですか、なんかすみません。
そう言うとアスキアさんはにっこり微笑んで
「とんでもございません、お礼申し上げるのはこちら側です」
?まあ、魔獣倒したしね。
そうこうしているうちに到着し城内を移動、謁見の間・・・の扉前。
しかし、でけぇなこの扉。槍みたいな長物武器持っててもスムーズに入れるようにだろうか。
キィと言う僅かな音も鳴らずに両開きの扉がゆっくり開く。
自動ドアなの?
絨毯の上をアスキアさんが「どうぞこちらに」と俺を謁見の場、国王陛下の前まで先導します。
周りに人はまばらです。
急だったから時間に間に合った人だけここにいるんだろう。
そして絨毯の色が変わったところで立ち止まり膝をついて・・・・つきませんね、そのままの姿勢で口上を述べました。
「強顎型魔獣、重量2529kg、1頭の単独討伐を達成なされたクルトン様、ただいまご帰還されました」
・・・帰還?どゆこと。
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