第27話 サンプル作成
やっと資金確保の目途が立ちました。
ホッとしている俺、クルトンです。
親方の奥様達から受けたリクエストに応える為、ステンレスの指輪を造ります。
字面ではチープな感じのする指輪ですが、現状ここでは新素材を使用した最先端の指輪になります。
場所も工具も時間も準備してもらいましたので以前のサンプル以上の物を目指し気合いを入れます。
まずはお茶を入れてっと。
軽くつまめるラスクを置いて・・・
過度なプレッシャーは手元を狂わせますのでリラックスしながら集中します(キリッ)。
・・・では始めましょう。
閉めたはずのドアからこっそり覗いている奥様達の期待を無下にもできませんし。
ニッケル、クロムの鉱石を精錬します。
どれくらい量の確保できるか確認していきましょう。
トントン、カンカン
トントン、カンカン
トントン、カンカン
トントン、カンカン
トントン、カンカン
トントン、カンカン
地味な工程です。
退屈に見えるこの作業でもちゃんと魔力を注ぎ、スキルを意識して一打毎調整して金槌をふるっています。
見た目以上に繊細な作業です。
出来ました。
天秤ばかりを使い重量を確認します。
・・・ギリ足りませんね。
いや、そんなに悲しそうな顔しないでください。
俺が持ってるサンプルを少々足せばまかなえますので。
今回はそれで対応します。
ってか、なんで部屋の中にいるんです、気が散るので席外して頂けませんか?
ドア開けててもいいのでせめて部屋の外から見学しててもらえませんか。
・・・ドアの向こうに椅子を用意、そこに奥様達が座って見学しています。
そんなにホイホイ作れませんよ。
2個作る必要ありますから4日間はかかると思うんです。
ずっと見てる気ですか?
まあ、いいでしょう、作業を進めます。
以前作ったサンプルの指輪はデザイン二の次で技術優先な側面が強い作品でしたが今回は奥様達用。
しかもそれを貴族さまたちに自慢すrゲフンゲフン、紹介して頂く為の大事な作品になります。
意匠をこらして見栄えも重視します。
三つ編み状に編み上げる構造は共通で一つは朝顔、もう一つは蔓バラをモチーフにして、編み上げる棒も最初から蔓に見立てた意匠に統一します。
指輪ですから指の動きを妨げすそれでいてハッキリ葉と花の意匠が認識できる様に大きさを調整しデッサンを描いていきます。
宝石は使用しません。
コスト的な理由もありますが、主張が強くなりがちで目立ちすぎますしね。
材料費気にしなくても良い位に稼げればそのうち技術見本として、その時のすべてを注ぎ込み挑戦してみたくはあります。
勿論魔法陣も刻み・・・サイズ調整付きは当然として貴族さま向けであれば健康に影響する、具体的には血流をよくする様な効果も追加しましょうか。
血行促進ってとこか、老廃物の排出や冷え性に効果がある魔法陣ですね。
毛糸のブランケットなんか作るときにこの魔法陣を一緒に編み込むととっても効果が高くなるんですよ。
トントン、トントン、トントン
トントン、トントン、トントン
トントン、トントン、トントン
トントン、トントン、トントン
初仕事ですし納得いくまで手を動かし続けます。
指輪の形になるのはもう少し時間がかかります。
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