第13話 旅の道中
やっと出発できました、クルトンです。
目的地の交易都市コルネンは何もなければ馬車で2日の距離です。
大げさな家族の見送りの割には近いです。
今回は行商のおっちゃんに頼んで同行させてもらいました。
とは言え馬車には乗っていません。
今の俺のガタイは凡そ身長200cm、体重180kg。
馬車に乗って馬に負担をかける訳にはいきません。
馬車より早く、長時間走れるし。
何なら今はおっちゃんの荷物の幾つかを背負子に背負ってジョギングしている状態です。
「いや、聞いてはいたけどすげえなクルトンは。疲れねえのか?」
ええ、余裕です、任せてください。
「・・・頼りにしてる、話は変わるが俺の商会の専属ポーターになんねえか?」
それはちょっと・・・色々楽しそうではありますが。
そんな他愛もない話をして何事もなく道中進みます。
実は交易都市コルネンは父さんの故郷で実家があります。
実家はパン屋で結構繁盛しているそうです、おいしいですよねパン。
先にそこと手紙のやり取りをしていて下宿することが決まっています。
なので出発のあの時、家族からあんなに心配されるとは思いませんでした。
おそらく長期の休みは取れないので、次に顔を見せるのは約束の2年後ですけど、親戚の家に下宿、何かあれば最悪俺の脚なら丸1日走れば帰れる距離です。
当然そう説明もしたのだけど、俺成人してるんだけど、親にとってはいつまでも子供が心配なんでしょうね。
分かります、前世に経験しましたから。
旅の2日目。
シュッシュッ、シュッシュッとジョギング?の合間にボクサーの真似事、シャドウボクシングもどきをしていると風を切る拳の音が変わった。
・・・もしかして
馬の休憩の為、道のわきに馬車を停車している時間を利用して検証行います。
適当な棒・・・は無いですね、あの岩にしよう。
先ほどはボクシングもどきで拳を繰り出していたが、今は空手の正拳突きを放つ。
小学校はスポ少で剣道、中高校は部活で柔道、8歳から50歳で腰を痛めるまで週2回の稽古で空手道を嗜んでいた。
子供の時は痩せっぽっちで小柄だった俺に自信を持たせてあげたいと、親なりにに気を使ったみたい。
最高でも地方大会で6位入賞程度の腕前がせいぜいであったが、一生懸命頑張っていたから前世の記憶とともに体が動きを覚えていたんだよね。
その努力が報われたように『パン!』と乾いた音が響く。
それと同時に拳を向けた、しかし触れていない部分の岩がはじけ飛ぶ。
衝撃波だろうか?
思考の海に沈んでいると「そろそろ出発すっぞ」とおっちゃんの声。
コントロールできない力は凶器でしかない。
それがふるわれたらただの暴力だ。
揉めたいわけじゃない、争いたいわけじゃない。
武器を持たなくてもこの威力、意図ぜずこの力がトラブルのもとになる可能性は拭いきれない。
油断していたようだ、まだまだこの身体、力(スキル)の検証は必要だ。
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