第10話 旅立ち
とてもいい天気です。
ご機嫌いかがですか?クルトンです。
妹たちも12歳になり、狩りの洗礼も受けて一段落。
今日は俺の旅立ち、交易都市コルネンに出稼ぎに行く日です。
突然の思い付きなどではなく、俺が12歳になった時から妹たちの結婚資金の為だと両親に伝えてはいたのだが、ギリギリまで「考え直さないか」とか「そんなにお金の心配する事ないのよ」とか言われた。
だけど、俺も含め子供4人を育ててくれた両親の為にも妹たちの嫁ぎ先に舐められてはならない。
こんなに大事に育てたのだと目で見える形でかましていかなければならない。
実際妹たちは器量、スタイルは抜群で料理と裁縫も得意。
畑や家畜の世話も難なくこなし彼女らが作る俺が教えた保存食の野豚のハムも絶品。
ハム目当てだろうと思えるヤツも含め去年あたりからチラホラ許嫁の打診は来ていたようだ。
妹たちが自分で選んだ相手ならば俺は何も言わないがそれでもかましていかなければならん。
一応出稼ぎの期間は2年、指輪と嫁入り道具として家具とドレス、そして家畜。
家畜は馬なら1頭、牛なら2頭、山羊なら20頭位は持たせてやりたい。
日本の感覚だと一人につき500万円位必要、二人分だから一千万。
こちらの通貨で大金貨50枚程度。
家畜が一番高い。
馬なんか飼ってるだけでそれなりのステータス。
結構な金額になるので頑張らねば。
2年間として考えると途方もない金額に思えるが何とかなると思っている。
実は戦闘関連では身体能力ゴリ押し感が否めないスキルがクラフト関連では凄まじい性能を発揮したから。
鍛冶で言えば最初の素材の精錬からチートで、炭やコークス使わなくとも体内にある魔力らしきものを消費、それに合わせて鉱石をハンマーでトントンカンカンするだけで不純物と金属が分離していく。
あとは使いやすい様にインゴット状に形成するだけ。
これもトントン叩くだけ。
木工なんか柱をイメージしながら左手で丸太に触れ、寿司屋で使っている柳包丁みたいな鋸を引いていくと大根でも切っている様な錯覚すら覚えて、表面が鉋がけした様な柱が出来てしまう。
端材が捲れる様に剥がれ落ちて柱が出てくる感じ。
落ちた端材なんかも板材や大量の割り箸になってた。
これは前世の記憶に引っ張られたな。
この他にも皮のなめし、糸紡ぎからの織。
指輪や鍵の様な小さな金属加工への形成とそれへの魔法陣の刻印などなど。
どれも材料、道具は必要だが大掛かりな設備無くとも俺一人で事足りる。
ちょっと自重した方がいいかも。
行商のおっちゃん曰く交易都市には宝飾の工房が何軒か有るそうな。
このチートを当てにしてどこかの工房に弟子入りしようかと思う。
なんだかんだ利益率の高い商品なんだそうな、宝飾品は。
資金も早く貯まる可能性が高いと思ったし、鍛冶や木工なんかと比べて独立した場合、作業場のスペースが小さくても済むんじゃないかと思って。
俺の作った指輪を妹たちの結婚指輪としてプレゼントしたいってのもある。
上手くいかなかったら按摩師って選択肢もあるしね。
こんな事を当日になっても丁寧に家族に説明して、大丈夫だからと説得して、やっと村から出発したんだ。
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