第6話 自分の能力
15歳になりました。
いつもの俺、クルトンです。
弓もかなり上達して大体ですけど200m位からネズミを狙い撃ちできます。
弓の張力すげえ。
当然ですけどちゃんと見えてます、俺の視力もヤバい事なってる。
弟、妹たちも7歳になった頃から体力づくりを俺と一緒にやってます。
12歳になった時の為に。
当然軽くだけど継続すると後々結構差が出るから、今のうちからね。
さて、まずは日常の話をしましょう。
日本の時間感覚で朝5時に起床、朝食を済ませて7時から昼食をはさんで15時まで畑仕事、それ以降はこまごました家の仕事を行い17時くらいに晩御飯、その後入浴なんかあって19時くらいには就寝といった具合で一日を過ごします。
トレーニングは朝食前と晩御飯の後。
十分な睡眠と1日三回の食事、実に健康的。
その他2週間のうち1日は森での狩り、一人で。
たまに野宿して2日間になることもあるけど最近は俺の腕を信頼してくれてるようでそんなにお小言貰う事も無くなった、心配はされるけどね。
俺はほぼ必ず獲物を仕留めてくるので以前と比べて食卓に出てくる肉の回数がかなり上がった。
しかも父さんが仕留めてくる分も有るからなおさらで、これには家族全員がニコニコです。
そのおかげか弟、妹たちも病気もすることなく、ケガもちょっとした擦り傷なんかアホみたいな速さで治っていく。
特にもうすぐ12歳になる弟なんかは同年代の男子より高身長で、俺と柔道の乱取り稽古をしている事もあり腕っぷしも強い。
これで顔面偏差値も高いものだから同年代の女性にモテモテです。
・・・かなり羨ましい。
身体能力や生活の為の甲斐性であれば俺の方が上なのだが、多分それは一定以上あれば良くて、俺くらいの高い水準までは求められていないんだろう。
俺の同年代の美男子諸君は普通にモテてるし。
・・・やっぱり、かなり羨ましい。
そんな弟も弓矢を扱える日を待ちわびている。
弟の最初の狩りには父さんと一緒に俺も同行する予定だから万全の準備を整えるべきだろう。
何の事は無い、俺自身の能力の把握である。
6歳で薪を粉砕し12歳で初の狩りにもかかわらず弓矢で飛んでいる山鳩を撃ち落とした俺は、プレイしていたMMORPGの他のスキルも思い出し試してみる。
スキルと言える程の事象が発現するのかどうかの実証実験である。
被検体は俺だ。
スキルの確認の前にまずは基礎的な身体能力測定。
記憶にある体力測定を参考に、弟にも協力してもらって色々試した。
最初は100m走・・・距離は正直大体だ
初めて全力で走り結果5秒台、馬より速い。
かなり感動した。
次に持久走。
これも距離は測れなかったから体感で100m走のスピード8割でどのくらいの時間走っていられるかの計測。
結果、お昼を走りながら食べてノンストップで4時間以上走っても疲れない。
村の周りをぐるぐる走ってたんだけど軽く轍ができた。
これ以上は時間がもったいないので、ここまでとした。
持久走に時間をかけてしまったので次の日に垂直飛びを行う。
今までの経緯からとんでもない事になるといけないので溜池の縁からジャンプ。
着地地点が溜池になる様にちょっと前に向けて、そして高く。
さすがに測れなかったが5mは跳んだと思う、もちろん上に。
そして無事溜池に着水した。
これは跳んだ高さもさることながら、その位置から落下しても大丈夫って事だろう。
次、背筋力と握力。
計測器が無いのでまずは握力を試す為にその辺にあった石を握る。
・・・砕けた、粉々だ。
岩を持ち上げる。
・・・うん、持ち上がった。
1t以上はあると思うんだけどな、この岩。
ここまでで身体能力の確認はいったん中止した。
おそらく頑強なこの世界の人達の平均を上回る能力だろう。
まだ15歳なのに、この村の人達の誰よりも身体能力高い。
分かってたけどな!
まあ、これが強さの絶対的な指標って訳でもないだろうから今まで通りトレーニングは続けるけども。
そしてスキルの確認。
先にも言ったがスキルと言える程の事象を起こせるかどうかの確認。
両手で棍棒を持ち(まぁただの太い棒なんだけど)振りかぶって標的に打ち下ろす。
今回は目視で20m位離れたところから。
記憶ではこのスキルの射程は20m以上あったはずだから。
結果は一瞬で間合いを詰めて無事標的を粉砕。
うん、これは良い、とても良い。
威力というよりも20mほどの距離を一瞬で移動できる所がチートだ。
初動ですでに最高速度、スゲー。
何かあったらメインで使っていきたい。
それから片手でも同じ事が出来る事を確認。
次に標的を立ち木に変え、踏み込まずその場で横なぎする。
すると生木の幹を衝撃波が通った様に棍棒の太さ以上の範囲をえぐり取っていく。
・・・こんなスキルあったっけか?
深く考えない事にして引き続き二刀流も試す。
ここはゲームで良くある連撃をやってみる。
するとゲーム内でしか見れない様な超高速の連撃が繰り出される、体に思考が追いつかない。
自分で振り回してる感覚はあるのに見えない棍棒超こえぇ。
で、お次にシールドバッシュ・・・は楯が無いので助走なしでショルダータックルを試してみる。
これもえらい結果で、さっき持ち上げた岩にかましてやるとパックリ割れた。
調子に乗って直径30cmくらいの木に鉄山靠をぶち当てると破裂した様に幹が吹き飛んだ。
・・・ここまでとしておこう。
なんか物理攻撃はスキルどうこうじゃない感じがしてきたし。
いや「実は身体強化系のパッシブスキルがあるんじゃね?」って疑いが出てきた、調べられないけども。
こうして試してみると、体感的には弓矢の追尾機能の方がよっぽどシステマチックでスキルっぽい。
そうそう、攻撃当てると炎や氷、雷、毒なんかの追加ダメージ付加されないかなって色々試したけどコレは無理だった。
ちょっと残念。
次は魔法。
これもゲームではスキルと同列で扱われていたから試してみようと思う。
まずは杖(さっきも使ったただの太い棒)をもって雷球を前方溜池に向かい打ち出すイメージ。
・・・出ない。
何か脱力感はあったが何も起こらない。
ちょっと考える・・・何かが抜けた様な感覚はあった。
何かが起きそうにはなった・・・のか?
これは魔法を使っている人に聞いた方が早そうだ。
いつも母さんが料理の時に種火を魔法で出しているから早速今晩聞いてみよう。
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