第3話 弟が生まれた

3歳になりました、俺クルトンです。


ビッグニュースです。

弟が生まれました。


結婚して10年以上子供に恵まれなかった両親は、妊娠確定した時からもうテンション爆上がりでした。

俺もテンション爆上がりです。


弟は拾われっ子の俺と違い両親と同じ赤銅色の髪と瞳、そして淡い茶褐色の肌、赤ちゃんなのに目鼻立ちがしっかりしていて既に美少年決定の様な感じです。

地球でいうところのアラブ系でしょうか。

羨ましい。


俺?

俺の容貌はアングロサクソンに近いだろうか。

茶色い髪に瞳、発達した顎とホリの深い目鼻立ちで、これだけ聞くと映画俳優的ハンサムなんじゃね?って勘違いしそうだが実際は違う。

決してブ男ではないが良く言って男前、見たまま言うとお伽話に出てくるオーガと言った方がピンとくる。

まだお子ちゃまではあるがその片鱗は隠しきれない。

体型もそれを裏付ける様に3歳にして同年代と比べると二回りほどデカい。

コンプレックスって訳ではないが、こんなだから弟が羨ましく、そしてとても可愛く思える。


弟が大きくなったら何をして遊ぼうか、お兄ちゃんが何を教えてあげようかと子供用ベッドで寝ている弟に話しかけていると、母さんが「まあ落ち着いて、赤ちゃんがビックリするわ」と笑いながら俺に話しかける。


いかんいかん、前世では子供好きだったからそれに感情が引っ張られたようだ。

赤ちゃんが可愛いのは正義だな。


クスリと笑っている両親をしり目に気持ちを落ち着かせる為、前世で習っていた柔道のトレーニングの一つインチワームをしながら部屋の中をグルグル回った。


両親はいつもの事かと生暖かい目で見ている。

心が落ち着くし集中できるのでトレーニングは毎日欠かさずやっている。

時間はそれ程ではなくとも毎日続ける事で後に大きな差が出るからね。




ちなみに俺が拾われっ子って言うのは3歳になるちょっと前に父さんが話してくれた。

きっかけは夕食後に発した俺の「お父さん、お母さんのと僕の髪と目の色違うのはなぜ?」って言葉。

物語ではよく聞く話だ。


それを聞いた父さんは眉を下げちょっと困った顔をすると母さんと一緒に椅子に座る様に言って俺を拾った時の事を話してくれた。


森で狼と俺の声が聞こえた事。

その声を頼りに森の奥に分け入ると狼を見つけた事。

その狼がメスの白狼で子狼と俺に乳を与え守っていた事。

何故かその白狼が人語を解した様な仕草で俺を父さんに託した事。

多分俺が丈夫で体が大きいのは生まれて間もない時期に森の守護者である白狼(父さんが勝手にそう信じている)から乳を分けてもらっていたからだろうという事。

家に連れ帰って母さんに事情を話し、俺を抱いた母さんが「子供を授かった」とうれし泣きした事。

俺が来てからずっと幸せだったって事。

そして10年ほど何も進展しなかったのに俺が来てからさらに家族が増える事。


もっといろいろ話してくれた様なのだけれど、お腹の大きい母さんが窮屈だろうに俺を膝に乗せ、そのまま話を聞いていたものだから途中で寝てしまった。


覚えてはいないけど

今も拾われたその時も、きっと俺は笑って瞼を閉じていたと思うんだ。

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