第7話 予期せぬ訪問者

「魔王様! まだダンジョンの中に人間共がいますがどうされますか?」


 興奮しフィオナはひとりしき俺への賞賛の言葉をはいて満足したのか、これからの事を聞いてきた。


「どうするって……とりあえず一旦最上階に戻ろう」


 本当はこの状況から全て目を背けて家に帰って不貞寝したいけど、魔王の力? である管理権限の事を確認しておいた方がよさそうだ。


「分かりました!」


 フィオナと共に最上階へ向かうのだった。


「よし、じゃあ早速……」


 部屋の改築と念じると先ほど見たものと同じポップアップが表示されていた。

 ZPは3000ポイントとなっている。

 そして沢山の家具やら装飾品などが表示された。


「へー、結構種類あるんだなぁ」


 思っていたより家具の種類が多い。とりあえず椅子と机は必要だよな……


「どういったものがあるのですか?」


 あっ、フィオナにはこれが見えてないのか。


「椅子とか、円卓……あとデーモンの剥製とかもあるんだ。フィオナは何か必要なものとかある?」


 一応フィオナにも聞いておこう。最初にこの部屋が殺風景と言い出したのはフィオナだし。


「私は騎士ですので! 欲しいものなどありません!」


 嘘だ。絶対何か欲しいものがあるだろ。顔に書いてるぞ。でも普通に聞いても欲しくないって言うんだろうな。


「そうか。じゃあフィオナが内装決めてくれないか? 俺、そっちのセンスは疎くてさ。今から読み上げていくからいるものを言ってくれ」


「……そういう事でしてたら分かりました、私にできるか不安ですが、魔王様の部屋として相応しい内装にしてみますね!」


「じゃあいくぞ……」


 それから書いている内容を読み上げていくのだった。



「……フィオナ」


「なんでしょうか!」


 目をキラキラさせながら返事をするフィオナに言うのは心苦しいが、俺は文句を言わないといけない。


「なんだこの部屋は!? なんでラスボスの部屋みたいになってんだよ! あの椅子とか完全に魔王の椅子じゃん! 勇者が来た時に座ってるやつじゃん!」


 しかも床にはレッドカーペットが敷かれていて、左右にはガーゴイルの像が6個ほど鎮座している。

 頼んだのは俺とはいえこれはないだろ。


「ふふ……我ながら上手くできました」


 なぜか誇らしげにするフィオナに文句を言う気すら無くなってしまった。


「さっ、魔王様! 椅子に座ってください!」


「ん? あれ? フィオナの椅子は?」


 部屋を改めてみましてみるが椅子が一つしかない。


「私は魔王様の後ろに立つので大丈夫です!」


 自分の椅子を用意しないってマジか。まあ、自分で言い出したら事だしそれでいいか。

 さっきから動きっぱなしでしんどかったし椅子に座らせてもらおう。


「ふぅ……」


 椅子に座ってみると案外いい眺めだ。ゲームに出てくるラスボス達もこんな眺めを見ていたのか?

 ちょっと膝も組んでみるか。


 おっ、なんか雰囲気出た気がする。


 あっ、そういえばフィオナも居るんだった。恥ずかしい。


「…………」


 そんな事を考えながらフィオナの方を見るとなぜか正面の扉を睨みつけていた。


「……フィオナ?」


 声をかけたと同時にギギギと音を立てて扉が開いた。


「……は? 人?」


「なんで? ここのボスってクイーンビーじゃなかったんですか?」


「そのはずだけど……」


 扉の向こうには男2人と女1人が立っていた。


 ……これって、結構ヤバい状態?


 俺はこの状況に内心で戸惑ってしまうのだった。

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