ルード、音の意味を知る

ツカサとの山菜採りは楽しかった。

けれど、ルードには、わだかまりが残る。

(あの音はなに?)


ルードは、元々、人間の集まる所が苦手で、

人が苦手。「なぜ?」って、聞かれた時に、

「どう接したら良いか?分からない。。。」と言う、独特の感性を持ち合わせている。

もちろん、ルードは人間の父と母の元に生まれ、人間の父と母の元で育てられた。

決して、動物に育てられたわけでもなく、捨てられて、野山を駆け巡っていたわけでもない。祖父も同居していたし、兄弟も存在する。豊かな環境が整っている。

それでも、向き不向きは存在し、人間的素質を欠落していた。もし、ルードを庇うとしたら、「それでも、生きていた。」と、言うところかも知れない。

人間的な素養として、勉学が出来なくとも、身体的能力が低かったとしても、さほどの遅れを感じないが、コミュニケーションは、長けていた方が生きやすい。愛されていれさえすれば、多少は軽く超えられる壁がある。

が、人間としての交わりが苦手であれば、茨の道を体験しやすくは感じる。


そんなんで、ルードは、人と会うより、

人と遊ぶより、自然に会いに行く方を好む。

いつもの通りに、山道を車でお出掛け。

そして、以前良く出掛けた場所を歩き、異変を感じる。なんだか、恐い。

なぜだろ?

そして、ほんの気持ち少し先にたどり着いた時、あの時聞こえていた音の意味が分かった。

広々と切り倒され、一面切り株の景色。

そして、さらに少し先に進むと、山の中の一部が、広大な太陽光発電の設備で、様変わりをしていた。


人間が近付くことすら、山は怒り、警戒している。いつも、人間を観察している。

(そうか。なるほど。)

(あの音の主は山なのかも知れない。。。)

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