そして心は一つに

「お邪魔しまーす!」

「…そんな元気に入らなくても、今日、誰も居ないよ」



無事、迎えを済ませた凛は、楓と帰宅した。


「誰も居ない!?これは…チャンス…」

「…なにか言った?」

「いんや!?凜の部屋、どこ~?」

「そこはトイレ…こっちだよ」


結局一通り家の中を案内した後、凛の部屋へ。


「わお、本当にぬいぐるみだらけだね!これとか抱き心地良さそ~~」

「それ…いつも抱いて寝てるの…」

「おぉ!ちょっと抱いて良い?」

「良いけど」

「ん~!これは気持ちよく眠れそう…。…凜の香りがする気がする…」

「しないでしょ。大体私の香りって何…」

「それはねー…こう!!」

「わっ……!?」


ベッドに寝転がってた楓は、横に居た凛を引っ張って、重なるようにくっついた。


「ん~♪本物はやはり違いますねえ…♪」

「び、びっくりしたぁ…ひゃっ、本当に嗅がないで……」

「凜は可愛いなぁ」

「…楓の方が可愛くて、明るいし…人気あるでしょ」

「そんな人気なんかいらない」

「え…?」


少しの間の後、


「私は凜が居ればいいのっ!」

「…!楓…。ありがと、凄い嬉しい」

「む、まだ信じきれてないな、その顔…」

「え、あ……」


咄嗟の事に、凜は、自分がどんな表情をしていいかわからなかった。


「それなら…教えてあげるよ」


楓は凜の服のボタンを一つ一つ外し始めた。


「え……か、楓…?」


そして楓もまた、ゆっくりと衣服を脱ぎ…


二人は生まれたままの姿になった。そして…


「こうして…くっつけばさ。わかるでしょ、私の温もり…」

「う、うん………」


楓の心音が直に届く。それに暖かい……。


気づけば、凜は楓を信頼しきっていた。ここまで自身を晒して自分の事を考えてくれる人なんて今まで居なかった。この人となら…。



そして二人は抱き合いながら、眠りにおちた。二度と離れんとばかりに。

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