繋がる気持ち

朝、起きた凜は、いつも感じる鬱々とした感じがない事に気づいた。

胸元には、イルカのストラップのついたスマホ。自然と安心感すら感じた。


「…そうだ」


凜は、楓と連絡先を交換した事を思い出す。そして、こういうのもいいかな…と、おはようというメッセージを送ってみる事にした。


若干、勇気は要ったが、送信。…返事は早かった。


スマホの着信音…でもこれって電話じゃ…と思いながら画面を見る。楓だ。


「もしもし…」

「おっはよー!よく眠れた?」

「うん。電話でどうしたの?」

「だって、凛の声聞きたいじゃん!」


その言葉を聞いた瞬間、胸の奥できゅんとする感じがした。


「そ、そう…なんだ」


私も…とまでは言えなかった凛。でも、同じ事考えてたんだなと思うと、なんだか嬉しく感じた。


「ねぇねぇ、今日ってひま~?」


楓が聞いてくる。今日は日曜日。予定は…特になかった。


「予定はないけど…また何処かへ行くの?」

「んっふふ、逆よ逆。凛の家に遊びに行きたいと思ってさ!」

「えっ…?私の家に…?」


相変わらず唐突な発案。でも悪い気はしない。


「わかった。良いよ」

「やったね!えーと、最寄り駅は…あそこだよね」

「うん。駅まで迎えに行くから」

「ありがと~!んじゃ早速準備するから、切るね~!」


切れる電話。ツーツー…という機械音に若干の寂しさを感じつつも、これから楓に会えるという高揚感のようなものも感じたり。


「…私も支度しないと。」

言いながら、凛は寝間着を脱いだ。



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