第7話 作戦会議とヘアアレンジ

陽愛奈ひめな視点

「って言っても、具体的に何すればいいのかな…」

「んー…ヘアアレンジは?」

「…私、自分じゃできないよ?」

「簡単なのとか調べてみたら出来たりして?」

「なるほど…」

 ただいま遥奈はるなと一緒に作戦会議中!題して!

明人あきとにぃをドッキリさせる作戦!」

「そのまんまの作戦名…」

 こ、細かいことは気にしちゃだめだよ。うん。

「あ、ほら!こんなのはどう?」

 そう言って遥奈が見せてきたのは、ミディアムヘアの人用の簡単アレンジ講座というサイトだった。

 たしかに、不器用な人でも簡単に!とか書いてあるし、これならいけるかも!

「じゃあ、お昼休みにちょっと練習してみようか。」

「うん!」




 …世の中の不器用さんって実は器用なんじゃない…?

 そう言ってしまいたくなるほど、私はヘアアレンジが苦手だった。遥奈がやると簡単そうなのに!なぜだ…

「んー…私がやってあげてもいいけど、陽愛奈は私に合うより先に朝先輩と会うから、これは自力でできないとだしね…」

「だよねぇ…」

「無理そうだったら他のことにしてもいいよ?」

「いや、せっかく遥奈が言ってくれた案だし、頑張ります!」

 そう言ってガッツポーズをすると、遥奈に撫でられた。

「…これが母性…」

 うーん…なんとも言えない気分…




「おはよう!明人にぃ!」

「おはよう。今日は元気だな。」

「まぁねー。」

 なんで私が上機嫌かというと、遥奈と悪戦苦闘しながら猛練習したヘアアレンジが、やっと自力でできる様になったからだ。しかも、今日は初お披露目の日である。いやぁ、ここまでに一週間かかったよ。私がどれだけ不器用か思い知った一週間だった。

 長かった一週間を思い出し、物思いにふけっていると、いつの間にか学校が目の前にあった。

 え!は、早くない?結局言い出せなかったし、どうしよう…

 そうやってぐるぐる考えていると、いつも別れる下駄箱がすぐ近くになっていた。

「じゃあ、またあとで。あと、今日の髪可愛いな。」

「!」

 そう言うと、明人にぃは行ってしまった。

 ……私、今絶対顔赤いよなぁ…


 その一言で、この一週間が報われた気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

見上げた先にいる君へ 蒼井 蓮月 @hazuki-aoi152

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ