第6話 その知らせは突然に
◯
それは突然だった。
「おはよう、陽愛奈。
朝、教室に着くと、
「おはよう。明人先輩なにかあったの?」
カバンを降ろさずに遥奈のところへ向かう。
「先週の放課後に先輩、告られたらしいよ。」
「えっ」
持っていたカバンがずり落ちるのを感じた。うそ、うそだ。だってそんな素振り明人にぃは一回も見せなかった…あ、たしかに先週の放課後は一回だけ先に帰っといてって言われた…帰るとき迷いかけて焦った…けど、帰れたんだからね!家の近くに住んでる人が通りかかったから道聞いたけど…その人いなかったら迷子確定だったけど…いやいや、そんなことより!
「でも先輩はその子のこと振っちゃったらしいけどね。」
「えっっ。そ、そーなんだ…」
あからさまにホッとしている自分を自覚する。
「話してる私が言うのもあれだけど、こういう噂ってすぐに広まるよねぇ。でも、これから先輩また告られるかもね。」
「ど!…どうして…?」
心臓が跳ねた。
「だって先輩ってめっちゃモテるんだよ?優しいし、料理作れるし、かっこいいし。まぁ、私は陽愛奈と一緒の時しか先輩と話さないし、ちゃんと知らないから、今のは友達からの受け売りだけどね。ともかく、みんなが抜け駆けしないように牽制しあってたのに、ひとり告っちゃったんだから、告る人は増えると思うよ?好きな人がいるのに何もせずに他の子に取られたくないだろうし。」
「なにその内部事情…知らなかった…」
みんなが牽制し合うほど明人にぃがモテるなんて…
「ともかく、ともかくね?陽愛奈も先輩のこと気になってるんだったら先輩に意識させるようなことしたら?」
「意識させるような…こと…?」
「髪型変えるとか…?」
「なぜ疑問形…」
「だって、手を繋ぐとかできる?」
「うっ…」
「…あ!あとは、お菓子作るとか?」
「うぐっ…」
「そんなに絶望的な顔しなくても…私も手伝おうか?」
「よ、よろしくお願いします…」
だって、あんなに料理上手な明人にぃに料理嫌いな私がお菓子作るとか、…て…手を繋ぐとか!無理だよ!
「先輩、誰かと付き合っちゃうかもよ?いいの?」
「よ、よくない!」
よし、こうなったら、絶対明人にぃをドキッとさせてみせるんだから!
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