【第30話】包茎って何ですか?
えっ、今なんていったの?
ホーケイ……???
耳慣れない言葉だったが、琴音先生には通じたようだった。
「ああ、来ましたね。そのうち三太郎さんあたりが相談してくるだろうと思っていました」
しかし、そもそも僕には三太郎が何をいっているのかわからない。
「ねえ三太郎、ホーケイって何?」
「それを俺にいわせるのかよ! ……まあ、でもカイトなら知らなくてもしょうがねえか。……チンチンが皮をかぶってるってことだよ」
「それって、ふつうじゃないの? ふつうは皮がないの? 皮をはがさないといけないの? 何のために? 痛そうなんだけど……」
「やっぱりカイトは何も知らなかったか。チンチンの先はふつう、皮がめくれてるもんなんだ。そうでないと、セックスができないんだぞ」
衝撃的な情報だ。
「そうなの!? じゃあ三太郎も僕も、一生セックスできないってこと!?」
「このままでは、そうなる。だから先生に相談しに来たんだ」
「そうだったの。僕も一緒に来てよかったよ」
「だろ? カイト、今回ばかりは恩に着ろよ?」
そんな僕たちのやりとりを聞いて、琴音先生がフゥゥゥ──ッと大きなため息をついた。
「やれやれ。どうやら三太郎さんは大変な誤解をしているようね」
「誤解? 俺が?」
「ええ。どこから説明しましょうか……。そうねえ……。じゃあ、まずは『包茎とは何か?』」
「そんなの決まってるよ。皮をかぶったチンチン以外の何者でもないし」
「そうね。でも、包茎にも種類があって、真性包茎、仮性包茎、カントン包茎の3つに分けられるの。そして、日本人男性の約8割が、このどれかに該当するといわれているわ」
「えっ!? 8割!? そんなに!?」
三太郎が驚くのも無理はない。
包茎だとセックスできないということは、日本人の男の80%はセックスができないということになる。
「本当よ。ちなみに、そのうちの約6割が仮性包茎。つまり、日本人にとって包茎というのは、ごくあたりまえのオチンチンの形なのよ」
「じゃあ、男の8割が、包茎手術を受けてるってこと?」
「そうじゃないわ。包茎は、そのまま放置しても問題ない場合が多いのよ」
「本当!? じゃあ俺、このままでいいの? 手術しなくてもセックスできるの?」
三太郎は、幼なじみの僕ですら「人はここまで真剣な顔ができるのか」と驚くほどの真顔で先生に聞いた。
「それは包茎の種類によります。ここであなたのオチンチンを見せてもらうわけにはいかないので、先生の話をよく聞いて、どれに当てはまるのか自分で確認してください」
「俺は全然、見てもらっても構わ──」
「お断りします。包茎の種類は、さっきいった3つに分かれます。まず、真性包茎。これは、通常のときも勃起したときも、常に皮をかぶっている場合です。生まれたての赤ちゃんはほぼ100%、この真性包茎です。成長していくにしたがって、人によって遅い早いはあれど、だんだん真性包茎の人は減っていきます」
「早い人はどれぐらいで包茎じゃなくなるんですか?」
「いい質問ですね。さすがカイトさん。これは個人差が大きいのですが、4歳ぐらいで、約半数の子が、皮が少しめくれる状態になるそうです。そして15歳までに約30%の子が、おおむね皮がむけている状態になります。つまり、高校生になっても包茎のままの子が70%なわけですから、友だちと比べて落ち込む必要はありませんし、他人をからかったりするのはいけないことです」
「そうなんですか。じゃあ、僕たちはまだ中1ですから、包茎なのがあたりまえですよね」
「そうです。だから落ち込む必要はありません。思春期を過ぎて、成人──つまり20歳ぐらいを過ぎても真性包茎のままの人は1~3%程度だといわれていますが、この段階で、セックスがうまくいかないとか、他人の目が気になるとかいうことがあれば、初めて手術を検討しても遅くないでしょう」
しかし、自分がその1~3%に入らないとも限らない。
いちおう気になることは聞いておこう。
「先生、手術代っていくらぐらいするんですか?」
「真性包茎の場合、健康保険が適用されますから、確か自己負担額は2万円以下だったと思います。これから説明する仮性包茎の場合は生活に支障がないので、自由診療となって10~20万円ぐらいかかります」
「2万円以下なら、お小遣いをためればなんとか自分で払えそうですね」
「そうですね。でも、手術中にいろいろオプションを勧めてきたり、手術後に数百万円を請求してきたりする悪質なクリニックもあるそうなので、ネットや雑誌で見つけてきたクリニックにいきなり行くのは避けましょう。手術を決める前に一度、医師に相談だけをしに行ってみるとか、口コミをくまなく調べるとかして、しっかりとしたクリニックや医師であることを見極めてから受診することが、とても大切です」
「わかりました」
「では、続けて仮性包茎の話です」
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この物語は毎日更新していき、
第50話でいったん完結する予定です。
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