テニスなんかにゃ興味ない! ~保健体育の美人新任教師が部活の顧問に! しかしここだけの話、先生はテニスより性教育に力を入れている~【全年齢対象】←ここ大事
【第28話】小学生とラブホに行くとどうなりますか?
【第28話】小学生とラブホに行くとどうなりますか?
「私、一度こういうとこ入ってみたかったんですよ」
「いや、あおいちゃんは小学生でしょ!? 早すぎるよ! っていうか、僕だってまだ中学生だし!」
「ねえ、入りましょ!」
「ダメだって!」
「もう……」
やっとあきらめてくれたようだ。
安心した僕の虚を突いて、あおいちゃんが僕の横にぴったりとくっついた。
「何やってんの?」
「記念撮影」
あおいちゃんはスマホを取り出し、僕たちのツーショットを写真に収めた。
「これでよし」
「何が?」
「ううん、こっちの話。じゃあ私、帰りますね」
「帰るの? 何か相談ごとでもあったんじゃないの?」
「そんなのありませんよ! 変なカイトさん!」
あれ?
変なのは僕のほう?
どうやら気を回しすぎたみたいだ。
「じゃあ、さようなら、あおいちゃん」
「さようなら!」
何か違和感を抱きながらも、僕は帰宅した。
驚いたのは、翌朝になってからのことだった。
*
いつも三太郎と待ち合わせているコンビニに到着すると、そこにはまだ三太郎の姿はなく、かわりに新菜がいた。
「遅いよカイト!」
「遅くないよ。むしろ、いつもよりちょっと早いよ」
「落ち着いてる場合じゃないわ! これを見て!」
新菜がスマートフォンの画面を見せてくれた。
ちなみに僕はスマホを持っていないから、ちょっとうらやましい。
画面には、SNSの投稿記事が映し出されていた。
「……!?」
僕は絶句した。
それは僕とあおいちゃんのツーショット写真だった。
あおいちゃんの顔にはボカシが入っているが、僕の顔ははっきり写っている。
間違いなく昨晩の写真だ。
それよりも問題なのは、その背景にクッキリと写り込んでいる建物だった。
「投稿者のハンドルネームは『JSあーちゃん』──つまり小学生ってことよね。カイト、あなた本当に小学生とラブホテルに?」
「いっ……行ってないよ。前を通っただけだよ」
「でも、投稿記事には『中学生のお兄ちゃんとラブホ初体験☆朝までイチャラブしちゃった』って書いてあるわよ!」
「イチャラブなんてしてないよ! 中に入ろうって誘われたけど、ちゃんと断ったよ。っていうか、新菜は僕がそんなことすると思う?」
「……だよね。まだ射精すら未経験のカイトが、ラブホテルでイチャラブなんてするわけないわよね。変だと思ったんだ」
「あたりまえだよ!」
「じゃあ、この投稿はなんなの……? ただの小学生のイタズラ?」
「きっとそうだよ。今度会ったら叱ってやらなくちゃ」
「そんなんじゃ済まないわよ! この写真、もううちのクラスの女子には知れ渡っちゃってるし、ヘタしたらもう学校中で噂になってるかも」
「えっ、そうなの!? どうすれば……」
「やっと、ことの重大さが飲み込めたみたいね。こういうデマ投稿って、確かSNSの運営会社に連絡すれば削除してもらえたはずだけど……」
そこに三太郎がやってきた。
新菜は僕にささやいた。
「このことは、三太郎にはいわないほうがいいかも。学校に行けば、どうせすぐ耳に入るでしょうけど、今、おしゃべりの三太郎に話したら、よけい噂の広まるのが早まりそう」
「ああ……そうかもね」
情報通の三太郎だが、さすがに夜中の出来事までは知らないようで、いつもと同じ能天気な顔だ。
「おう、カイト。なんで新菜がいるんだよ?」
「うるさいわね。べつにいいでしょ」
「よくないよ。登下校は、俺とカイトだけの大切な時間なんだ」
「キッモ! じゃあ男2人で勝手にすれば。私は行くわ」
「おう、そうしてくれ」
新菜はフン、と三太郎から顔をそむけて、そのまま先に行ってしまった。
怒ったようなそぶりをしながら、去り際にウインクをした。
どうやら三太郎は例の写真のことを知らないようだと判断して、安心したのだろう。
*
「カイト君、今すぐ一緒に職員室に来て」
登校してすぐ、校門で待ち構えていた琴音先生に引っ張られるようにして、僕は職員室に向かった。
やっぱり、こうなるよね。
SNSにアップされて世界中に向けて発信されてしまった以上、先生の耳に入るのも当然。
しかも、小学生らしき少女と一緒にラブホテルの前にいる写真がアップされたとあっては、学校は黙っちゃいなかった。
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この物語は毎日更新していき、
第50話でいったん完結する予定です。
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