テニスなんかにゃ興味ない! ~保健体育の美人新任教師が部活の顧問に! しかしここだけの話、先生はテニスより性教育に力を入れている~【全年齢対象】←ここ大事
【第22話】思春期特有の「うつ病」って何ですか?
【第22話】思春期特有の「うつ病」って何ですか?
「ねえ先生、そもそも『うつ病』ってどんな病気なの?」
三太郎の疑問はもっともだ。
もちろん「うつ病」という言葉自体は、僕も聞いたことはあるが、なんとなく「うつうつとした気持ちになる病気なんだろうな」ぐらいの認識しかない。
今まで、僕の周囲には「うつ病」で学校を休んでいる子なんかいなかった。
……と思う。
「『うつ病』は心の病気です。ひどく気分が落ち込んで、何もやる気が起きなくなったり、場合によっては日常生活にも影響が出てしまったりします」
「えっ? それって病気なの? 俺、落ち込んでやる気がなくなることなんて、しょっちゅうあるけど」
「でも、三太郎さんは学校には来られているでしょう? 『うつ病』にかかったら、学校や会社に行くこともできなくなるほど落ち込んでしまうんです」
「それって、ただ甘えてるだけじゃん? 俺だって学校に行きたくないときもあるけど、親が行けっていうし、内申点が悪くなるのも困るから仕方なく、必死に学校に行ってるわけで」
「三太郎さん、実はそれが『うつ病』のやっかいなところです。実際、『うつ病』の人のことを、『甘えている』『わがまま』『仮病だ』『気合いが足りない』と批判する人は多いのです。でも、最近では『うつ病』にかかっている人の脳では、脳内物質や脳細胞の減少、脳内炎症が見られることがわかってきていて、けっして気持ちのもち方の問題ではないことがあきらかになってきています」
「そうなんですね……。いや、なんか、『うつ病』の人を批判しちゃったみたいですみません」
「いいえ。三太郎さんのおかげで、みんなにも『うつ病』が仮病と誤解されやすい病気だということを、みんなに説明できてよかったわ」
どうやら、かなり深刻な病気みたいだ。
そうなると、小古呂奈江さんのことが心配だ。
「先生、小古呂さん──いえ、『うつ病』の人は、どうして『うつ病』になるんですか?」
僕がたずねると、先生は少し困ったような顔をした。
「残念ながら、『うつ病』になる原因は、はっきりとはわかっていないのです。今のところ、ストレスや環境の変化、ホルモンバランスが乱れる病気やその治療薬などが原因になって、さっきいったような脳の中の問題が生じると考えられています」
そのとき、長内さんが思い出したようにいった。
「でも、薬で治るんでしょう? うちのお母さんが何年か前に『うつ病』って診断されたことがあって、確か薬を飲んでいたの。しばらくは、元気になったり、また落ち込んだりを繰り返していたんですが、3カ月ぐらいしたら元のお母さんに戻っていて。でも、また1年後ぐらいに同じ症状が始まって……というのを何回か繰り返しているの」
「おそらく病院で処方された抗うつ薬のことでしょう。新しい『抗うつ薬』もどんどん開発されているようです。でも、その一方で抗うつ薬治療によって、うつ病患者の自殺死亡・
「企図って何ですか?」
「自殺企図とは、自殺をはかること。死に至らない場合も含めます」
「えっ!?」僕は思わず声を出してしまった。「抗うつ薬って、『うつ病』で自殺したりするのを防ぐために飲むものじゃないんですか?」
「カイトさん、いいところに気がつきましたね。でも、こんなのは医療業界では常識です。たとえば抗がん剤の添付文書をよく読むと、副作用として『二次発がん』などと記載されているものがあります。実は、発がん性が証明されている抗がん剤は数多くあるのです。でも、患者にはそんなことは、たいてい知らされません」
、
なんだか頭が混乱してきた。
「それなら、向精神薬や抗がん剤は、いったい何のためにあるんですか?」
「それは大人の事情により、ここでは詳しく話せません。自分で調べて、自分で考えてください。……さて、本題に戻りましょう。カイトさんが一番知りたいのは、どうすれば『うつ病』を完全に治せるのかということでしょう」
「はい」
「それには、もう少しだけ、みなさんに思春期の『うつ病』のことを知ってもらう必要がありますが、いいですか?」
♪∽♪∝♪——————♪∽♪∝♪
『テニスなんかにゃ興味ない!』を
お読みいただいてありがとうございます。
この物語は毎日更新していき、
第50話でいったん完結する予定です。
・フォロー
・応援、応援コメント
・レビュー
・★評価
これらをいただけると、
すごく励みになります!
どうぞよろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます