テニスなんかにゃ興味ない! ~保健体育の美人新任教師が部活の顧問に! しかしここだけの話、先生はテニスより性教育に力を入れている~【全年齢対象】←ここ大事
【第19話】チラチラ見えるのはパンツですか?
【第19話】チラチラ見えるのはパンツですか?
結局、長内さんの飛び降り騒動は事なきを得た。
しかし、琴音先生と新菜、そして僕の三角関係に長内さんが加わり、四角関係に発展してしまった。
テニス部の活動中は、この4人が一堂に会するわけだが、そこは意外とみんな大人で、他の部員に関係を悟られないように、ごく自然に接してくれた。
「全員集合!」
部活が中盤に差しかかったころ、東郷キャプテンが号令をかけた。
「近いうちに、男女とも他校との交流試合を組もうと思う。ついては、試合に出場するレギュラーメンバーを選抜するために、これからは練習試合を多めに入れていく。特にレギュラーとイレギュラーの境目あたりにいる者は試合が多くなるので、常に準備をしておくように!」
交流試合は男女とも、シングルス3試合、ダブルス2試合の計5試合を行う予定だという。
つまり、試合に出られるレギュラーメンバーは男女7人ずつだ。
ここは名門テニス部。
いきなり1年生がレビュラーメンバーに
実際その日は、男子部で練習試合に参加させてもらえる1年生は1人もいなかった。
ところが、女子部は少し事情が違ったようだ。
練習が終わったあと、着替えて部室から出たところで、長内さんが声をかけてきた。
「伊勢君、私、もしかしたらレギュラーになれるかもしれないの!」
「本当に!? うちのテニス部って強いんだろう? 新1年生がレギュラーメンバーに入るなんてことあるの?」
「まだ決定じゃないんだけど、今度の練習試合で先輩に勝ったらレギュラーにしてくれるって」
「すごいね! 長内さんはテニス歴が長いっていってたもんね」
「うん、2歳からやってるの。お父さんもお母さんも、実業団の選手だったから」
「に……2歳から!? 英才教育じゃないか!」
「そう。だから、テニスの才能がある人は、見ればすぐにわかるの。伊勢君は才能あると思う」
「あ……ありがとう」
僕がタレンテッドであることまでは気づいていないようだ。
だとすれば、あっというまにそれを見抜いた琴音先生って、いったい……。
「ちょっと待ったァ!」
いきなり背後から大きな声がしたので、僕も長内さんも驚いてしまった。
「新菜! びっくりさせるなよ!」
「なんだかいい雰囲気みたいだけど、抜けがけはダメよ、長内さん」
「そんなつもりじゃ……」
「いくらレギュラーメンバーになれるかもしれないからって、まさか私に勝ったつもりじゃないでしょうね。カイトの童貞を賭けた恋のレースはまだ始まったばかりですからね!」
いつのまにか、僕の大事なものが賞品にされている。
「もちろん、テニスの実力と恋は無関係。でも、レギュラーメンバーに入って試合に出られるようになれば、伊勢君はいつも私を応援してくれる。これって大きなアドバンテージだと思うの」
「は……? カイトが、いつもあなたの試合を応援するですって? カイトだって、そんなに暇じゃないわよ」
「新菜さん、もしかして義務応援のことを知らないの?」
「ギム……オウエン?」
「テニス部では、すべての団体戦と、個人戦の準決勝以上には、男女の部員が総出で応援しにいくっていう決まりがあるの」
「な、なんですってえ!? そんなのズルい! 聞いてないわよ!」
そんなルール、僕も知らなかった。
「義務応援なんてあるのか……」
すると、そこに琴音先生が現れた。
「あなたたち、何を騒いでるの?」
すると、新菜が訴えた。
「義務応援なんて変なルール、やめましょう!」
「えっ? 新菜さん、どうして?」
僕は状況を説明した。
「……なるほど。レギュラーになって試合に出れば、確かにカイト君にも応援してもらえるわね」
「そうなんです! 私だって選手になって、カイトにいいところを見せたい!」
「だったら、がんばってレギュラーを目指しましょう」
「そりゃあ、がんばりますけど……。でも、テニス歴が長い長内さんのほうが絶対に有利ですよ! ズルいです!」
「ふふふ、そうですね。でも、あなたたちはみんな、まだ中学1年生。テニスを始める年齢としてはちょうどいい、伸び盛りの時期です。いくら長内さんのテニス歴が長くても、逆転することはできます」
「本当ですか、琴音先生!?」
「ええ、新菜さん。上達の第一歩はイメージトレーニングです。まずは上手な人の試合を見にいきましょう。ちょうど次の日曜日に、有明テニスの森で比較的大きな大会があります。みんなで見にいきましょう」
「賛成! カイトも行くわよね?」
テニスなんか、ほとんど興味ないのに、どうしてこうなった……?
しかし、この流れでは、拒否ができない雰囲気だ。
「あ……うん。じゃあ、琴音先生、三太郎も誘っていいですか?」
「もちろん、いいですよ」
新菜は不服そうだが、琴音先生にゾッコンの三太郎を呼ばなかったら、あとで殺される。
こうして日曜日には、琴音先生、新菜、長内さん、僕、そして三太郎の5人で有明テニスの森に集合することになった。
*
日曜日。
僕と三太郎は有明テニスの森にやってきた。
「ここが日本テニスの聖地、有明テニスの森か!」
「いや、三太郎ってテニスに興味あったっけ? かくいう僕も、それほど興味があるわけじゃないけど」
「興味あるって! ありまくりだよ!」
「そうなの? まあ、集合時間の2時間も前に来るぐらいだから、あながちウソじゃないのかもしれないけど」
「あたりまえだろ! テニスといえばミニスカ女子! ボールを打つたびにチラチラ見えるパンツ!」
「それが狙いだったの!? ひょっとして、早めに来たのって……」
「新菜たちが来てからでは、せっかくのパンチラをゆっくり堪能できないからな」
「三太郎に合わせてこんなに早く来るんじゃなかった……。っていうか、あれは確か、パンツじゃなくてアンダースコートっていうんじゃなかったかな。つまり、見えてもいい『見せパン』ってやつでしょ」
「いや違う! あれはパンツだ! 断じて、見せパンなどではない!」
「あ……そう」
見た目は似たようなものだとしても、見せてもいいパンツと、見せてはいけないパンツでは、ありがたみが違う。
三太郎がパンツだと思い込みたい気持ちはわかる。
「ところでカイト、さっきから気になっているんだが、どのコートを見ても小さい子しかいないぞ」
「そういえばそうだね。ここは小学生の部なのかな。一般の試合はどこでやってるんだろう?」
「小学生のパンチラなんて何のオカズにもならねえよ。俺ウンコしてくるからカイト、誰かに聞いといてくれ」
三太郎はそういい残して行ってしまった。
このときの僕は、まさかテニスの試合会場で小学生にセックスについて講義をするはめになるとは、まったく想像していなかった……。
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『テニスなんかにゃ興味ない!』を
お読みいただいてありがとうございます。
この物語は毎日更新していき、
第50話でいったん完結する予定です。
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