お見合いツアー お疲れのティナ

「ティナ、お疲れ様」

「うん、頑張り過ぎて頭がお熱だよ。空冷じゃ間に合わない」

「頭部の温度がかなり上昇していますので、冷たい飲み物と頭部冷却用サークレットを用意しました」

「ありがとー」

「装着して、少し横になってください」

「そうするよ」

「疲れているところ申し訳ないのですが、少し質問があります」

「ひょわ~、頭気持ちいい…。で、何の質問?」

「なぜ、頭部の冷却に魔法を使わなかったのですか?」

「あの魔法はね、冷却温度の制御が難しいんだよ。常時展開なんかしたら、頭使ってるところにさらに魔法の制御しなきゃいけないから、思考力落ちちゃって長丁場は使えないんだ。しかも、温度制御ミスると頭痛くなってくるし」

「なるほど、そんな欠点がありましたか」

「アルの医療機器の方が安心安全」

「脳への血流量が徐々に下がって来ましたね」

「私の不得意分野多かったから、めっちゃ頭使ったよ」

「不得意分野なのに、あれだけ出来てしまうんですね」

「だって、彼らは自国のためにプライド捨ててでも説得の成功率上げたかったんだよ。焚きつけた私は、能力限界まで頑張らなきゃ」

「不得意分野は、資料整理と話し方ですか?」

「うん。資料整理は普段頭の中で適当にやってるし、分かんなくなったらアルを頼ればいい。だけど彼らに分かりやすく順序だてて説明しなきゃいけなかったから、結構必死だったよ。話し方も知識として知ってただけだから、実践なんて初めてだったもん」

「ティナが頑張ったおかげで、かなり成功していたと思いますよ」

「それなら良かった」

「あともうひとつ質問なんですが、なぜバンハイム地方の統治を交渉材料に出さなかったのですか?」

「それ出したら説得はしやすいだろうけど、その場合、説得された側はバンハイムの統治で出る利益を期待しちゃうからね。下手するとランダン王国がバンハイムを支配下に置いたなんて勘違いするのが出そうだったから」

「…ランダン王国も妖精王国の属国になった後で、山脈北部全体を統治出来る人材として、ハルトムート王太子個人を勧誘したかったのですか?」

「そうなの。ハルトムート殿下個人の能力が優れてたからヘッドハンティングするだけで、ランダン王国自体は関係ないって見せたいの」

「バンハイムもランダンも、互いに属国として平等に扱いたいんですね」

「そうそう。統治者が自国の王太子だからランダン王国の方が上だ、なんて勘違い野郎は要らないんだよ。スカウトの時、一旦王太子だけじゃなくて王族籍も廃して平民になってから北部地域の代表に就任して欲しいと思ってるの」

「納得しました。それでは、ティナはこのまま休みますか?」

「血流量上がってかなり汗掻いたから、もう一度お風呂に入りたい」

「分かりました。…お風呂で寝ないでくださいね?」

「…」

「誰かに入浴をサポートさせます」

「はーい」

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