お見合いツアー 大陸視察 2/5

艇内が微妙な空気になったので、新統治体制構築とバプール国民の高収入化案策定を後回しにしたいティナは、昼食のために領都シュタインベルクへの移動をクラウに提案。

了承されたので、移動を開始した。


航路上には大陸西端の魔の森やシュタインベルク領があるので、到着までは社会見学再会だ。


ここでクラウから『シュタインベルク領西の魔の森をどうすればよいか』との質問が出たので、龍脈と魔の森の関係、高濃度魔素の噴出に起因するスタンピード発生などを、ティナが解説した。


皆の喰い付きがあまりに真剣なので、この大陸の龍脈地図を端末に転送し、カメラに簡易魔素濃度可視化アプリも追加した。


この端末の撮像素子は小型ドローンの物を流用しているので、可視光以外にも色々な物が映る。

赤外線が映ると服が透けるし、魔素濃度が可視化出来ると相手の持つ魔素量が一目瞭然になってしまうため、プライバシー保護機能として可視光のみに制限がかけてあった。

しかし『スタンピードの予兆が捉えられる』と言われればその通りなので、魔素可視化モードは人物が映り込むと画面がグレーアウトするように変更することにした。


魔の森低空に滞空したまま、窓越しに端末で森を映す面々。

当然魔獣の魔素も映るので、赤外線モードのように発見が容易になる。

龍脈の流れを見たり魔獣を発見したりして皆が興奮してしまい、かなりの時間、魔の森上空に留まることになった。


しかもその後でクラウによるシュタインベルク領の案内もあったので、結局昼食は摂れなかった。

昼食は城壁内のレストランで摂ろうと話していたので、料理の事前準備などしていなかったのが救いかもしれない。


新事業である乳製品と鶏卵事業の紹介では、ランダン王国組から中が見たいと頼まれ、着陸して見学することに。

突然領主の訪問を受けた牧場主は、目を白黒させながらチーズの製造現場と鶏舎を案内していた。

もしクラウの隣にいたのが他国の王子たちだと知ったら、腰を抜かしていたかもしれない。


再び飛び立つ頃には時間も午後三時を回っていたので、結局領都には寄らず、本日宿泊予定のホーエンツォレルン城に向かった。


アウレールからハルシュタットを撮影したいと頼まれ、またハルシュタットを遊覧してからの帰城となった。


帰城後は夕食まで休憩時間にしたが、ここでもアウレールから懇願された。

城内が美術品のように素晴らしいため、ぜひとも撮影許可が欲しいと。

ホーエンツォレルン城には空を飛ばない限り来れないので、攻め込まれる危険性はほぼ無い。

まあいいかと、ティナは撮影許可を出した。


夕食時、アウレールがティナにしこたまお礼を言っていたが、他の面々は豪華な料理を撮影しまくっていた。

お昼抜きだったこともあり、会食は料理の感想が大半を占めた。

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