恨みを買えば、返って来るのに
「ティナ。アホ王国に隣接する三か国が、連合を組んでアホ王国に侵攻を始めました」
「ありゃりゃ。でもアホ王国の兵力って、奴隷狩りの分くらいしか減ってないよね? 勝算あるの?」
「元々アホ王国に侵略されて領土と国民を奪われていたようで、こちらが王城を破壊して奴隷たちへの理不尽な行為にも罰を与えているのを知り、自国民奪還を掲げて侵攻しています」
「あー。アホ王国って、戦になると相手国出身の奴隷を前面に出してたのかも。今回それをしようとすると、妖精が罰を与えてくれると踏んでるのかな。……しょうがない、希望通りに動いてあげよう」
「どこまで助力しますか?」
「奴隷を前線に出そうとしたら、命令者に片っ端から深達度Ⅲ×マーク。万一奴隷を人質にして脅したりしても同様で。ただし、実際の戦闘には非介入。もし連合側が仕返しでアホ王国民を奴隷化しようとしたら、そっちにはしみしみ液お見舞いして」
「了解です。ドローンの不足が懸念されるので、キャリー君とドローンを派遣してもいいですか?」
「持ってくドローンは、こっちに影響出ない程度に抑えてね」
「そのつもりです。戦闘には非介入ということは、属国化は無しですね?」
「海向こうまで属国広げると、管理が大変だからね。連合国が占領してもいいけど、やり過ぎるようならしみしみ液で」
「了解。あとバンハイムの新首都ですが、一週間後には完成予定です」
「早すぎ!?」
「バンハイム各地での工事が無くなり、大型ドローンが浮いて来てましたし、上水道や噴水のために、山にダムを造りましたからね。当然水力発電機も仕込みましたから、電力も潤沢でした」
「早かった理由は分かったけど、お披露目とかどうするかな。招待客招くには日数おかなきゃダメだし、行政機能の新体制すら考えてないよ。それに住民の入居条件も考えなきゃ」
「まだ庭園部の花が育っていませんので、お披露目は数か月後がよいかと」
「あ、今冬だった。どうせならきれいな庭見て欲しいから、春がいいか」
「あれは庭というより、もはや巨大丘陵公園ですが」
「ちゃんと庭園も設計したじゃん」
「庭園と呼べる場所だけで八か所もありますよ。他にも噴水公園や里山公園、キッズエリアに芝生広場、動物広場やバーベキュー場、桜並木まであるじゃないですか。8km四方の広さなんて、すべて見て回るのに何日かかるんですか?」
「住民が飽きないようにいっぱい作ったの。アルだってノリノリだったじゃない」
「まあ、楽しかったですけどね。今はマンション型城壁の設備動作確認と据え付け家具を設置中です」
「完成したら、公開前に内覧に行くよ」
「多分一日では回りきれませんよ?」
「…デミちゃんたちも連れて、オープン前のプレイベントで遊び倒すか。出来たらクラウたちも呼ぼう」
「他地域の代官たちは呼ばないんですか?」
「それはお披露目の時にね」
「分かりました。ずいぶんと楽しそうにしていますが、中央集約化した行政機能構築と招待客の決定、入居条件の策定、生活必需品の流通先も確保してからにしてくださいね」
「う、…頑張る」
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