発想力≒妄想力?
「あと、カユタヤには、何か手を打ちますか?」
「そうしたいんだけど、現状はこちらの手が足りてないよね」
「足りないのは、手というより移動の足と特効薬ですが」
「そうなんだけどさぁ…。このままカユタヤで大流行が続くと、シャルト共和国に入って来る未発症感染者も増えちゃうよねぇ。せめて子ども専用の医療チームだけでも派遣したいなぁ…」
「シャルト共和国での感染状況次第ですね。流行を封じ込められれば、特効薬を回す余裕も出来るでしょう」
「そうだね。シャルト共和国での状況推移次第で、カユタヤへの対処を考えよう」
「了解です。今回の件で、ピコマシンの製造量と機動力の脆弱さが浮き彫りになりました。アオラキとホーエンツォレルン城の地下に階層を増やし、ピコマシン製造ラインと高速艇製造ラインを増設してもいいですか?」
「そうだね、お願いするよ。電力は大丈夫?」
「現段階でも余裕がありますが、魔素発電機を設置します。アオラキもここも、魔素濃度が他の人類居住区より、かなり高いですからね」
「そっか、効率良さそうだね。高速艇はクール君量産するの?」
「クール君ももう少し増やすべきでしょうが、数人用の小型機を作りたいですね。開発に時間はかかりますが、多方面への展開力を考えると、新規に開発した方がいいでしょう」
「推進器の目途はあるの?」
「クール君の推進器をもう少し小型化してみようかと」
「魔素発電機の開発成功したんだから、今度は魔素推進器作ってみない? 使う魔法陣を物理的ベクトル掛けるのにして、方向を可変して飛ぶとか」
「またとんでもないこと言い始めましたよこの幼女。それって、バッテリーの搭載スペースが要らず、充電の必要も無い飛空艇ってことじゃないですか。燃料切れの心配が無い飛空艇なんて、普通思い付きますか? しかも実現可能な公算が大きくて、一笑に伏せないじゃないですか。最高かよ!」
「あはは、アルが変な言葉遣いになってる。おもしろい!」
「…ウケましたか。たまにはこういうのもいいでしょう。では、早速設計に取り掛かります」
「あ、私の希望追加で。小型ローバー縮小して貨物室を推進器室にするのはどう? あれは四人乗りだけど形状的に高速移動時の空力抵抗大きいから、ボティは卵型にして三人乗りとか。デルタ翼やボティでソーラー発電すれば、制御系の電力くらい賄えない?」
「ティナの発想力はすごいですね。しかも夢物語を実現可能にしようとする合理的根拠まで付随してくる。その創造力には、追い付ける気がしません」
「それは違うよ。今だってAIの禁忌を犯せば、アルは私の思考回路を電子的に再現出来るじゃない。それはつまり、私の思考を自身の中に内包出来るほど能力が高いのに、データの蓄積不足とかでアルのオリジナル思考回路を構築しきれてないだけってことでしょ」
「…何とも説得力のある意見です。私はまだまだ能力の発展が見込めるわけですね。高評価、ありがとうございます」
「別にお世辞とかじゃなくて、ただの事実だし」
「でもうれしいので、お礼は受け取ってください」
「まあ、うれしいならいいけど」
「はい、ありがとうございます」
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