新首都、作るか

バンハイム共和国に配備されていた大型ドローンは、危険個所の整備や大規模工事が終わったことで、バンハイム共和国内では少々持て余し気味になっていた。

一時期は多くの小型ドローンをシャルト王国に廻したことで、運用コストを無視して大型を国内の巡回に充てていたものの、小型ドローンが次々仕上がって補充されたために、次の配備先が検討されていた。


アオラキに予備戦力として収容しておいてもいいしシャルト共和国での工事に廻す手もあるのだが、ティナの思い付きでバンハイム共和国に新たな首都と宮殿を建造することになった。


現在バンハイム共和国では、東都の城を仮の政治的中枢にして運用している。

しかし東都はバンハイム共和国内の東の端に位置するため、国民からすると長距離の移動を強いられることになり、色々と不便なのだ。

そこで、現在のバンハイム共和国の中心付近に、新たな首都と宮殿を建造しようというのである。


新首都の建造予定地は、連なった岩山の山裾。

ここは平原ではあるものの、岩石地帯なために耕作には不向きで、利用されていない場所だ。


ティナが目を付けたのは、その場所にある多くの岩石と、岩山を割るように流れる水量の多い川。

都市建造の建材を現地調達し、川の高低差を利用して上水道も整備可能な場所なのだ。


キャリー君と各領の大型ドローンを全機新首都建造に充て、万一大型ドローンが必要な場所が出た場合は、キャリー君で急行する予定だ。


スタンピード対策のために首都の敷地は城壁で四角く囲うが、その城壁はシュタインベルク同様に一階が通路と店舗のマンション型城壁。

そして敷地の中心には、シャンボール城を真似た巨大宮殿。

シャンボール城では城壁となっている部分をサイズアップして四角い宮殿とし、中央棟は議事堂や閣僚控室、政務室の予定だ。


この首都、城壁の内側は全て庭園の予定で、住居はマンション型城壁と中央にある宮殿の客室だけ。

ぱっと見は、堅牢な城壁に守られた広大な庭園内の城に見える。

晴れた日は庭園の道を通り、雨や雪の日は十字に配置された地下道を使う。

首都なのに家が建っていない、かなりへんてこな首都だ。


ティナはノリノリで設計していたが、首都だからと居住人数を十万人にしたため、城壁一辺の長さが8kmにもなってしまった。

歩いて一周するだけで八時間もかかるマンション型の城壁。

中心部の宮殿をかなり広くしたとはいえ、幅は500m。

庭園部には森や池、芝生広場でも作らないと、きっと埋められない広さだ。


アルに完成予想イメージを示されたティナは、庭園部のデザインに大いに悩むこととなった。

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