私、妖精作ってるの?

「で、実際にドローンやローバーを見たり触ったりして、どう思った? 出来れば正直な感想を聞かせて」

「それが、わたくしたち四人は、妖精ではなくてティナが持つ特殊な人外の力と思っていましたので、正直少し拍子抜けですの。もっとおどろおどろしい妖獣の類の可能性も考えておりましたので、単に金属製の道具だったことに、却って安堵してしまいました。ですから、あまり参考にはならないと思います」

「あちゃ~、そうだった。妖精じゃないって先に気付かれてたんだった」

「ティナ様、私、何でティナ様の妖精はあんなにも可愛らしいんだって家族に聞かれたんですけど」

「え、私の妖精?」

「そうなんです。うちの家族、おとぎ話と違い過ぎるから、ティナ様専用の妖精がいるって思ってたみたい。それで苦し紛れに、ティナ様が作った妖精だからって言ったら、妙に納得されちゃって……。勝手なこと言って、ごめんなさい」

「マジ? 私ってば、妖精作っちゃってるの?」

「私も家族や知人に聞かれて、カーヤに聞いていた内容と同じような事を話してしまいました。誠に申し訳ございません」

「ティナ、うちの使用人が無責任なことを言っていたようです。大変申し訳ございません」

「あー、家族や友人に黙ってるのは心苦しいよねぇ。…まあ、それはいいや。お叱りは無しでお願い」

「お前たち、まさかレベルアップの秘密までは漏らしておらんだろうな?」

「力が強くなったり魔法が上手くなったのは、ティナ様の妖精のご加護だって言いました」

「私も事前に指示されたとおりに、妖精の加護だと話しました」

「うわぁ。なんか家族にまで嘘付かせちゃってごめんなさい」

「いえ、真実が知られれば家族にさえ危害が及ぶ可能性があると教えていただきましたので、家族のためと思えば、心苦しくはありませんでした」

「私もそこは頑張りました。だから大丈夫です」

「ティナ様、どうやら重大な秘密は守れておるようですが、これはやはり罰を与えませんと示しが付きませんぞ」

「いや、二人とも約束は破ってないから。だって妖精がなんであんな可愛らしい姿なのかなんて、秘密にしてもらう内容に入ってないよ。それにね、あの可愛い妖精の姿は、私がアルに頼んで作ってもらった幻影なの。だからある意味、私が生み出したことは間違ってないんだよ」

「むう、しかしですな…」

「お願い! 二人が罰を受けたら、私が心苦しくなっちゃうの」

「爺、ここはティナの願いを聞き入れて、罰は与えないことにいたしましょう。ですがティナに関する質問を受けた場合は、シュタインベルク家の機密だから話せないと言うべきですよ。反省はしてくださいね」

「「申し訳ございませんでした」」

「ティナ様のお願いでは、仕方ございませんな。ティナ様、年寄の考えて恐縮ですが、ティナ様の妖精とドローンとは、別種の妖精にされてはいかがでしょうか?」

「お? ……あの可愛らしい妖精は私の妖精で、ドローンは妖精王陛下の配下の一種族にするってこと?」

「左様にございます。今まではティナ様がシュタインベルクにおられましたのでティナ様の妖精もシュタインベルクにおりましたが、ティナ様がこちらのご領主に就かれましたので、シュタインベルクには妖精王陛下の配下の方々が領の手伝いに来ていただいたのです」

「……じゃあ今後シュタインベルクでは、たまにドローンの姿が見えるようになっても住民に受け入れられる?」

「事前に住民に対して説明は致します。そうすればさほど混乱は起きないでしょう」

「…西部同盟への復旧支援は妖精王国として行うから、ドローン妖精が派遣されて来るのが当たり前? この領は妖精王国の直轄領だから、ドローン妖精がいるのが当たり前。だけど私が領主代行だから、私の可愛い妖精もいればい。……なんか行けそうな気がして来た。アルノルトさん、ナイス!」

「お褒めいただき光栄ですな。ですがフィーネ殿がおっしゃったように、私も呼び捨てていただきたいですぞ」

「今更呼び方変えるの? 公式の場ではなんとか頑張るから、それ以外は勘弁してよ。廃村仲間でしょ」

「仕方ございませんな」

「何か私、今日はみんなにお願いばかりしてない?」

「少しは恩を返させてくだされ。他にもお願いはございませんかな?」

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