ドローンの中継基地作ろう
「そうなると移動方法が問題だね。探査ドローンって、航続距離と通信距離は?」
【満充電での最大航続距離は300km、通信可能距離は隠ぺい通信で500kmほどですね。それ以上離れるとリアルタイムの状況把握や遠隔操縦は出来ず、遅延操縦になります。その場合、工事中の事故に対応しきれず、ドローンを失う可能性もあります】
「ああ、通信で位置が特定されないように通信自体を隠ぺいしてるから、通信距離が落ちるんだったね。遅延操縦だと、大きな落石あっても回避命令の前にドローンつぶれちゃうか。そうなると、ドローン送り込むだけでも中継基地十か所は要るじゃん。ローバーに積み込んでの輸送はどう?」
【最大航続距離の長い中型ローバーでも500kmが限界です。何度も充電しなければいけませんし、洋上に浮遊させてのソーラー充電になるので、晴天でも十日、曇天が続くと充電不足で鹵獲される危険性がありますね】
「う~ん困った。こんな時って、これまではどうしてたの?」
【艦ごと移動するか、母艦からの艦載機支援ですね】
「両方ダメじゃん。仕方無いね、地道に見つからない場所に中継基地作ってくしかないか」
【それでも洋上の中継基地が四か所は必要です。洋上では発見される可能性が高くなりますね】
「結局、新造艦が完成するまでは無理かぁ…」
【ここの上に専用の大型パラボラアンテナを設置すれば5,000kmほどは通信可能になりますが、やはり新造艦の完成が遅れますね】
「それなら新造艦に注力して、少しでも早く完成させた方がいいね。大型パラボラアンテナなんて、下手したら見つかりそうだし」
【そうですね。では新造艦の完成を急ぎます。そうなるとティナは暇になりますが、どうしますか?】
「そうなんだよねぇ……。あ、この大陸の南の方って、どんな感じか分かる?」
【はい、この大陸の大まかな地図は出来てます】
ティナの視覚に、大陸地図がレイヤーされた。
レッサー君も登場し、肉球付き指示棒で地図の位置を指し示す。
【現在地がここで、新都がここ。帝国の領土がここまで。その南は広い魔獣の森で、さらに南に別の国があって、その向こうは海ですね】
「へえ~。縮尺から見ると、広い魔獣の森は600kmくらい南?」
【はい。森の中心部までは、およそ680kmです】
「ふ~ん。森の地形は分かる?」
【地図作成ドローンの映像では、西2/3が平地、東1/3が起伏の激しい岩石地帯の森のようです】
「お、岩山あり?」
【はい。映像からは多数の奇岩や岩山が確認出来てます】
新たにティナの視界にレイヤーされた映像には、アドルシュパフ・テプリツェ奇岩群のような地形が映し出されていた。
「おー! ここいいね。手ごろな岩をくり抜いて、通信中継基地にしよう!」
【いいですね。地下資源次第ですが、内部に発電施設を組み込めば、位置的にもドローンの中継基地としても有用です】
「よし、私がローバーで工事用ドローン運ぶよ。あ、でもドローンはリアルタイム操縦無理か」
【帝国内の偵察ドローンを一機中継用に回します。ですが中型ローバーでも、途中で一度充電が必要な距離になりますね】
「じゃあ夜間インビジブル無しで飛んで、日中どこかで充電するよ」
【そうですね。ロ-バー充電中に積載したドローンを飛ばせば、ドローンが現地に先行出来ます。遠隔操縦の通信は、偵察ドローンとローバーで二段中継しましょう】
「中型ローバーには何積んでいこうか?」
【中型ドローン二機と通信中継機、小型発電機にソーラーパネル、岩に偽装したソーラー充電式バッテリーも持って行きましょう。あとは、ティナの就寝用に、簡易ベッドですね】
「了解、用意よろしく。じゃあ今晩にでも発進するよ」
【はい、夜までには準備を整えておきます】
こうして、大陸南部の魔獣の森に、中継基地を作りに行くことになった。
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