レベルアップ?
【ティナ、お目覚めですか?】
「うん、アル、おはよー」
【身体に異常は感じませんか?】
「異常? 全然無いよ。それどころか身体がすっごい軽くて快調なんだけど……。あ、そうだった。私、気絶しちゃったのか。魔核ってどうなったの?」
【破壊されました。というより、空中に霧散して消失しました。ティナはあの時、何を感じて声を上げられたのですか?】
「あの時は一瞬で身体全体が、これでもかっ! ってくらい熱くなったの」
【実際には体温変化はありませんでした。ですがインプラントチップに流入する魔素量が跳ね上がり、インプラントチップの一部機能が損傷しました。ですので勝手ながら、インプラントチップ除去と再埋め込みの手術をさせていただきました】
「おおぅ。インプラントチップ壊れちゃったんだ」
【はい。今回埋め込ませていただいたインプラントチップは、流入魔素量の上昇に対して自動で計測レンジをステップアップできるように改良しました】
「そんなに魔素流れちゃったんだ。まああれは、身体全体が跳ね上がっちゃうくらいびっくりしたからなぁ」
【収集情報には魔核破壊時に気絶してしまうようなものはありませんでした。私の情報収集不足と思われます。申し訳ありませんでした】
「いや、アルは悪くないし。壊そうって言ったの私だから」
【それでももっと安全に気を配るべきでした】
「娘を心配しすぎるお父さんか!? 過保護すぎる!」
【なんですかそれは。私は生物ではありませんよ】
「自覚無しか!? 私の記憶からヘリコプターペアレントで検索入れて!」
【参照しました。行動の類似性を認めます】
「……」
【あと、ティナの身体について報告します。現在は安静時の状態で、魔素流量が魔核破壊以前の魔法発動時の1.87倍となっています】
「え?……普通にしてても魔素を練った状態より多くなった?」
【はい。ですので魔法の行使は、現象発現規模が極端に増大している可能性があります】
「……じゃあ今、魔素を練っちゃったら何倍になるの?」
【以前の安静時の魔素流量が検出下限付近でしたので、予測値に大幅な誤差が生じますが、64~128倍ほどですかね】
「おぅ。…しばらくは魔素練らないようにするよ」
【練らずとも発動しそうですので、気を付けてください】
「あ、そっか。でも誤発動は無いかな。魔法の発動って、声の発声に似てるんだ。いくら頭の中で叫んでも、声にしようとしなければ声は出ないのと同じようなものだから」
【なるほど。ですがこれでレベルアップというものが、一瞬に大量の魔素を浴びた事による体内魔素流量の常時増大という仮説ができましたね】
「まだ仮説なんだ」
【たった一例では、実証には程遠いです】
「それもそうか。もう少し弱い魔物の核で、何度か試してみよう」
【はい。魔核の魔素密度計測器も試作してみます。ところで先ほどは魔法の発動を発声に例えられましたが、寝言みたいに出ませんよね?】
「……」
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