第3話 初めての挫折

入寮して数日、新しい友達もでき少しホームシックになりながらも毎日を過ごしていた。

1つだけ私の想定と違ったのが野球部での活動だ。甲子園を目指すだけの高校なだけあって部員は総勢90名。レギュラーを含めた一軍、ベンチなどを争う二軍、新入生の中でも上に食い込めない三軍で構成されており私は三軍に振り分けられた。

中学ではレギュラーでバリバリやっており、主に2番打者としてバントや走塁などには自身があった。それだけに振り分けに納得がいかなかった。

同じ三軍でも上級生は勿論いる。先輩方は上に上がることより新入生をいたぶる事を好いているように感じた。三軍は基本的にチーム内練習には参加できず、草むしりやボール拾い、部室の掃除やピッチングマシンの手入れなど雑用をこなした後残った時間で、一軍、二軍の方が使ってない箇所で練習を行っていた。雨の日は室内でレギュラーメンバーが練習する為私たちは外のグラウンドで泥だらけになりながらノックを受けたり、坂道ダッシュを行うなどして基礎体力を身につけていた。私は変にプライドが高くこんなのやってられるかと手を抜いた練習をしていると先輩に殴られた。日常茶飯事のようで周りも何も言う事はなかった。ただ耐えるしかできなかった。

もちろんチャンスが無いわけではない。定期的に監督やコーチ、OBの方が見る中で紅白戦が行われる。結果により入れ替えを行うためだ。私は一番センターで起用されたが二軍の先輩の140キロに迫るボールに手も足も出なかった。根性で送りバントを二回決めたが評価に値しなかったのか上のクラスに上がる事はなかった。


そのまま時は過ぎ夏の県予選が始まった。勿論私はスタンドで応援だ。先輩方の活躍を期待する一方で、三年生の抜けるであろうポジションを目で追い動きなどを見つめていた。来年こそは自分がグラウンドでプレーするんだ、と言い聞かせ応援をした。結果は県予選、準決勝敗退、甲子園出場はならなかった。


対戦相手のエースはその後プロに入り活躍することになるが当時は誰も知るよしはなかった。

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