第2話 初めての硬式野球

中学に上がった私はその地区で唯一ある硬式の野球チームに所属した。父が早くから慣れておくといいとの事でありドキドキしながら練習に参加した。


野球が詳しくない方の為に少し説明すると野球には硬式と軟式の2つがある。前者は高校を始めプロ野球で使われている球であり軟式は高校でも取り入れている所もあるが日本のプロ野球では採用されていない、その他にも硬さや打つ際の違いなどもあるがここでは省略させて頂く


初めの頃は球の違いに戸惑い、中々結果も伴わなかった。ボールを正しくキャッチしないと手に痛みが走る、もちろんデッドボールも軟式の比ではない。上級生は大人のような体つきをしている人も多く今までのように当たり前に試合に出れるわけでもなかった。しかし、甲子園で野球がしたいと思う当時の私にしてみると苦だと感じる事もなく毎日が楽しかった。初めて試合に出た日、ヒットを打てた日、スタメンになれた日、どんどん野球が好きになって行った。


当然漫画のような展開になる事はなく地区大会で勝ち上がればいい方で地方大会になれば怪物のような選手も沢山居る。そんな選手と対戦できる事が楽しくて仕方がなく、よく母親に勉強も頑張りなさいと怒られた思いがある。


ある日、エースの子が身内の不幸で試合に来れない為初めて先発として登板した。今までは外野かファーストを主に守り、負け試合や練習試合などでしか登板が無かった私にしては絶好のチャンスとなった。結果は言うまでもなく大炎上だ、クイックが苦手な上に球も速いわけではない。小手先の変化球でどうにかなるほど甘くはなかった。しかしそれ以降ピッチャーとしても練習を積むことになり大きな糧になった。


三年生にもなると進路を決めないといけなくなる。同じチームの主力選手は某強豪の高校から推薦が来たりしていた。私の所にも推薦が来たが甲子園に出たことのない高校が多かった。家庭が裕福では無かった為できれば推薦を受け地元の高校に通ってほしいと母から言われたが、やるだけやらせて欲しいと強豪校のセレクションを受けた。するとある一つの高校から特待生として受けたいと申し出がありその県内では絶対的な強豪校が存在するがその高校と競い合ってる高校からであった。私は親元を離れ入寮をする事になり夢の高校野球生活が始まろうとしていた。

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