第164話 巨大な次元門
「うむ、ここならいいかな」
ドゴーグのアドバイスを受け、膨大な魔力を込めた次元門を開いてみようと言うことになった。
そこでやってきたのは海。
見える範囲には島1つなく、人的被害については問題ないだろう。
「海の中の生き物も、わらわの威圧である程度は逃げているじゃろ。全てとは言えんがの」
唯一連れてきたのはリオ。
今回は敵も1体だけだろうし、広範囲に被害が及びそうなので他のみんなには我が家で待機してもらっている。
「感謝するのじゃぞ! 命がけでついてきてやってるのじゃからの!」
「あぁ、感謝してるよ」
おかげで『飛行』してなくても済むし!
ドラゴンと言えば騎乗!
俺は今、リオの本来の姿である白銀のドラゴンの背中に乗っているのだ!
「え、あ……そ、そうか……どういたしまして、なのじゃ」
「お前、ストレートに感謝されたり好意を伝えられるのに弱いよね」
婆の癖にしどろもどろになって照れてる。人化の姿は幼いのだけど。
「う、うむ……なぜじゃろうか、お主にそういったことを言われると……照れちゃうのじゃ」
あらお可愛いこと。
「ふむ、そうか。この戦いが終わったら……お前に伝えたいことがある」
「なっ!? 何じゃ藪から棒に! ま、まさか……そのぉ……」
もちろん、特に何もない!
さて、立派なフラグを立てたところで!
「さぁ! 開くぞ!」
全力全開! 久々に外的魔素をも活用して!
「マナよ! 我が求めに応じよ! 世界を繋ぐ扉となりて! 彼の場所へと導け! 『次元門』!」
さらに詠唱のサービス付き! 詠唱に意味はないけど!
「おお? おおおおおおおぉーっ!?」
周囲から膨大な量の魔素が! 展開されている魔法陣に吸い込まれる!
「おい! 込めすぎ! 魔力込めすぎ!」
「えぇ?」
世界規模の魔法っぽいというからありったけ込めてるんだけど!
「しかも! どこに繋がっとるんじゃこれ!?」
「……え?」
どこってそりゃあ……どこだ?
しかし考える間もなく――!
「ちょっ! 苦しいっ! な、んじゃこりゃあ!?」
暴風が、稲妻が、火柱が辺り一面に巻き起こる!
「あ、やべ」
そう言えば『時空間収納』を付与した指輪を作るとき、似たような現象が起こったなぁ~……。
「この状態だと、『結界』の魔素もガンガン吸われて疲れるから……頑張って逃げてくれ!」
「ひいぃっ!? 何でじゃ! 何でそんな重要なことを今言うのじゃ!」
忘れてたからだよ!
「俺の眷属目指すんなら! このくらい楽勝で対処しやがれ!」
エリーならできそう! 知らんけど!
「――っ! よかろうっ! 我が愛の深さ! 身を持って感じるがよいわっ!」
お、お婆ちゃんが年甲斐もなく張り切ってるぞ!
縦横無尽に飛び回り、マナ災害による雷や火柱を避けていく。
「あ、無理じゃ……」
「いっでぇっ!」
避けきれなかった雷に身を焦がす! 感じたぜ! お前の愛の浅さ!
「いつまでじゃ!? いつまでこの状態は続くんじゃ!?」
「わからんけど! 多分そんなに長くかからない!」
多分だけど! 真空状態のところに一気に空気が流れてるような感じだから!
もう少し耐えれば――!
しかし突如、マナ災害が沈静化した。その原因は――。
「■■■■■■■」
「「……」」
いつの間にか開ききっていた次元門、そこから見えたのは巨大な眼球……桁違いの魔力……。
「■■■」
「「――っ!?」」
やっ、ばっ、死っ――!
◆◇◆◇
「――はっ!?」
な、なんだどうした? ここは……海の上? 次元門は……開いてない?
「目覚めたかの、主様よ」
「リオ……何か、さっきとんでもないことが起こった気がするんだけど……」
何かこう……圧倒的で悍ましくて背徳的で……。
「……主様でも緊張するしておるようじゃな。どれ、一度深呼吸してみるのじゃ」
「……スー……ハァー」
リオにいわれるまま、何度か深く息を吸い、そしてゆっくり吐く。
「どうじゃ? 落ち着いたかの? さすれば、『次元門』を開くのじゃぞ」
「あぁ……そう、だな。とりあえず『次元門』だ」
兎にも角にも、そのために来たんだから。
「うむ。無理をせずゆっくり魔力を込めて『次元門』を開くのじゃ。行き先もちゃんと指定するのじゃぞ」
「……わかった」
ゆっくり、落ち着いて……必要以上の魔力は込めないように……。
「『次元門』!」
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