第150話 聖女光輪
「では、私を含めた聖騎士団とアレク様の手合わせを始めたいと思います!」
翌朝、落ち着きを取り戻したオルレアン。
昨夜の話通り模擬戦を行うことになった。
「アレクー! 頑張るんですのー!」
「アレクちゃま~! 頑張ってぇ~!」
エリーとアラアラも観戦している。
光属性魔法を使う2人だから、そのエキスパートであるオルレアンから学べるものもあるんじゃないかなーと思って。
「おぉ、聖女様には及ばないながらも美しき女性たち……これはいい格好をしないとですね!」
「本当だ! 特にあのお胸は……華麗!」
おい誰だ糞っ! 俺のおっぱいに邪な視線を向けやがって!
さすが聖女という女性のために集まった煩悩集団、魅力的な女性を見つめずにはいられない!
「……うげー、ですわぁ……」
「……ちょっと不快ですねぇ~……」
そう言ってどこからともなく大きな布を出して被さる2人。
おいおいおい! ハムスターみたいに布からひょっこり顔だけ出して……そんなんじゃ全然魅力を隠せてないぞっ!
「……コホン、みなさん準備はよろしいですか?」
「はいよ」
くっくっく、オルレアンめ我が妻たちに信徒が盗られると焦ってるな?
「それでは始めっ!」
聖女による開始の合図とともに、総勢30名ほどの騎士団が波となって襲い掛かってくる。
「ではまずは……『極級支援魔法』!」
「ふむ……『結界』」
当たり前のように極級を無詠唱で使ってくる聖女。さすがというべきか、それなりの努力はしてきたようだ。
対してこちらは様子見の『結界』。強度は超級程度に抑えてある。
「ぐぅ! なんて強度の結界だ!?」
「魔法でも剣でもビクともしないぞっ!?」
騎士団は思い思いの攻撃で結界へと攻撃を加えるが……結果はこの通り。
「まさかこれほどとは……」
「まさかこれほどとは……」
全く同じ言葉を漏らす俺とオルレアン。
しかしその内容は対照的、俺は落胆を、オルレアンは驚愕を孕んだものだった。
「いいでしょう、小手調べは終わりです! 私の実力を見せてあげますわ!」
そう言って魔力を練り出す聖女。
「マナよ! 私の支配下に降りなさい! 我が下僕共の頭上にて輝き、我が威光を知らしめよ! 『聖女光輪』(ラピュセル・ハイロゥ)!」
中々ひどい詠唱の後、騎士団の頭上に天使の輪っかが現れた。
「ど、どうですか! この魔法は私への信仰心が高ければ高いほどその効果を増す支援魔法です!」
息を切らしながらも魔法の効果を丁寧に教えてくれる聖女様。
「うおぉぉぉー! 聖女様のお力が溢れてくるぅーっ!」
「聖女様! 聖女様!」
「聖女様の為に……悪しき敵を討てーっ!」
いや悪しき敵って……昨日散々神だのなんだの持ち上げてたくせに! 煩悩の塊どもめ!
しかし感じる力は先ほどとは比べ物にならないのもまた事実!
「くらえっ! 『美し斬り』!」
「死ねっ! 『美麗瞬光羅刹光破斬』!」
「舞い散らせ! 『殲滅・千本桜秀吉』!」
技名は相変わらずふざけているし目を儚げに閉じているが、なかなかの攻撃力となっている騎士団たち。
「『結界』!」
超級では壊れそうな結界、さらにもう1段階強くしてみる。
「はっはっはっ! 無駄だっ! 今日の伽役はこの俺だっ! 『聖狩暴』(エクスカリボー)!」
ん?
「なんのっ! 今日こそ私がっ! 『聖万華』(セイントフラワー)!」
お?
「今日は僕がいいところを見せるんだぁ~! 『倭鬼箆炉死戴』(ワキペロシタイ)!」
あん!?
粗暴でクズで間抜けな3人の側近たちも果敢に攻めてくる!
1人は性癖を叫んでるだけだろうがっ!
「おっ! これはなかなか!」
しかしこの3人は地力も信仰心も並みの騎士たちよりも優れているようで俺の結界もミシミシと悲鳴を上げる!
「ちっ! これでもダメですか!?」
「このままじゃ聖女様の腋があの間抜けにとられちゃうよぁ~!」
「くそっ! しかたない! こうなったら合体技だ!」
合体技とな。
「やれやれ、しょうがないですね!」
「いっくぞぉ~!」
「今だっ!」
「「「『我等三亜奈強堕威』(ガーラ・サン・アナキョウ・ダイ)!」」」
3馬鹿どもが叫んだ瞬間、彼らの頭上の光輪が莫大な光を放ち、さらには1つとなってこちらに飛翔してくる!
「なっ!?」
その瞬間、俺の結界が粉々に破壊された!
「ハァハァ……後は任せましたよ、聖女様!」
「あなた達の頑張りは無駄にしないわ! 『聖女ノ誓願』(ラピュセル・オース)!」
その隙を狙って聖女から強力な光の奔流が飛んでくる。
「――っ! うわぁー!」
聖女の魔法が俺に直撃し、肌を焼く!
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