第149話 オルレアンという性女

「こ、これは……一体……」


 光輝く俺、それを見た聖女様。


「いやぁ、聖女様を想ったら何だかこうなってしまいました」

「ど、どういうことですか? しかし……何と神々しい……」

 聖女様が何やら祈りだしたんだが。


「頭を上げてください。これはあなたを想えばこその力、あなたの力なのです」

「アレクさん……いえ、アレク様……!」

 聖女様の顔も感動のあまり、にやけている。

 ……ん?


「……負けたよ、アレク。いや、アレク様。あなたこそ聖女様のお隣がお相応しい」

 粗暴なマルコが改まって言う。何だよお相応しいって。


「んん~……これは文句のつけようがないねぇ~」

 間抜けのイーヒ。バカめ、この技に何の意味もないというのに。


「くっ。……いえ、これも聖女様のためになるのであれば……」

 クズっぽいサンマルクがどうにかして俺を利用できないかと考えていそうだ。


「アレク様。今夜、どうか私の部屋に……」

「ありがたき幸せ! 必ずや馳せ参じます!」


 聖女様と2人きりでのアポゲット!


 ◆◇◆◇


「お待ちしておりました、アレク様」


 夜、彼女の部屋を訪れるとそこには――。

「さぁ、アレク様……来てください」

 一糸まとわぬ聖女様が。


「どうしたんだ? 服を脱いで……」

 俺はメイちゃんたちを裏切れない! であれば取るべき行動は1つ!

「乾布摩擦でもしてたのか?」

 鈍感系主人公になることだ!


「……い、いやですわアレク様。私と2人きりになりたかったと言うことはこういうことを期待していたのでしょう?」

 そう言って聖女は豊満なお胸を強調してくる。


「どうしたんだ? 胸を抱えて……まさか寒いのか? 乾布摩擦は血流を良くすることが目的だ。そんなに寒気を感じてしまうようでは逆効果だぞ」

「では……アレク様が温めてくれますか?」

 そう言ってタオルを渡してくる聖女。なんだ、やはり乾布摩擦をしていたのではないか!


「いいだろう。オラオラオラオラオラァッ!」

 ゴシゴシゴシゴシッ!

 燃え尽きるほどヒートにしてやるぜぇっ!


「ちょっ! 痛いっ! やめてっ! やめなさいっ!!!」

「どうしたんだ? まさか俺の乾布摩擦が――」

「乾布摩擦から! 離れなさいっ!」

 どうしたんだ? まさか……乾布摩擦ではないのか?


「ハァハァ……一体どういうつもりよ! あなた、私とセ〇〇スに来たんじゃないの!?」

「何? セグノサウルス? ほう……よくぞそのようなマイナーな恐竜を知っているな」

 俺も某映画で出てた恐竜を図鑑で調べた幼少期がなければ全く知り得なかったであろう。


「知ってるわよ! 昔見た映画に出てたからね! ……ぁ、しまった」

「君も見たことがあるのか。ちなみに、どのシリーズが好きなんだ? 俺はやはり2作目が好きだなぁ。未知の世界を進む冒険感と恐怖を味わえる――」

「……あなた、何者? どうして映画を知ってるの……? ま、まさか……」

 気付いてしまったか。


「ふっ。何、俺はただの人間さ。昔恐竜学者を夢見ていた、な」

「そう言うことを言ってるんじゃない!」

 ……そうだった、ここには別の話をしに来たんだった。


「聖女オルレアン……君は転生者だよね? 実は俺もなんだ!」

「……今更誤魔化しても無駄ね。そうよ、私には前世の記憶がある! だから何!?」

 何だかヒステリックに大声を上げ始めたオルレアン。


「いや……転生者の使命の確認とか……それに、クイードァに攻め入る計画を立ててるとか聞いたから……」

「そうよ! クイードァの新しい王様は超絶イケメンだって言うし! 私の逆ハーに入れてあげようと思ったのよ!」


 やっぱり! 聖騎士団の面々がイケメンばっかりだったし。よくわからん訓練してるし……気持ち悪い笑い方してるし!

 そんなんじゃないかと思ったのよ!


 やっぱり転生したからには目指すよね! ハーレム!

 でもそれだけのために大国であるクイードァに攻め入ろうとするなんて……性欲って怖ろしい。


「私の目的はただ1つ! いい男を統べて私の元に侍らせることよ! 例え女神を敵に回してもね!」

「こわっ! いやいや神様強いよ? 女神より先に魔神を倒さなきゃだし」

 それにパーシィをこんなあばずれビッチの逆ハー要因にする訳にはいかない!


「女神も魔神も纏めて屠ってあげるわ! そのための聖騎士団! そのための聖女! 最早私に敵などいないわ!」

「どこから来るのよその自身……あんな騎士団がまともに戦って強いわけないじゃない……」

 実用性度外視の訓練ばっかりしてるし……。


「ふん。あなたも貰ってるんでしょ、『才能(ギフト)』。私の『光極メシ者』と聖騎士団、2つが合わされば怖いものなんかないわ!」

 大層な自信だ。『光極メシ者』、名前から察するに――。


「光魔法の才能が突出してるのか?」

 光魔法には攻撃魔法もあるが、その本領は他者への支援魔法や回復魔法にある。

 その辺を活用して、という事だろう。


「そうよ! 何なら明日にでも私と聖騎士団の力を見せてあげましょうか!?」

「ほう! それはなかなか面白い。いいだろう、その挑戦受けて立つ!」

 彼女の支援魔法がどの程度なのか、クイードァの脅威となるのか、もしくは魔神戦で戦力になるのか……確認の意味でも意味はある。


「私たちが勝ったら! 大人しく私の元に侍りなさい!」

「……」




「いたっ! 何するのよ!?」

 何だかイラっとしたので彼女の双丘の先っぽにあるイボをつねりあげ、部屋を後にした。

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