第116話 眷属
「よ、よかったな! 即死じゃなくて!」
「……」
幼女ドラゴンが現れ、トカゲ嫌いのメイちゃんがワンパン!
哀れ、幼女ドラゴンはグチャグチャになったのでした!
とは言え、何だか可哀そうだったので仕方がなく回復してやったところ。
さすがに失った内臓や肉を再生するのは骨が折れたぜ! 骨も再生してやったぜ!
「はぁ……何で俺がこんなことを……」
二日酔いで気持ち悪いって言うのに……。
「……」
幼女ドラゴンはあまりのことに呆然としてるし。
「……あ」
「あ?」
ようやく喋れるようになったか?
「あ……り……」
「あり?」
アリーヴェデルチ(さよならだ)?
「お帰りはあち――」
「あんまりじゃ~! せっかく! せっかくお主に会いに来たのにぃっ! うわぁぁぁ~ん!」
うーわ、泣き出した。
ドラゴンの姿のままだから可愛くもなんともない。
「お主が~! お主がどうしてもって言うから~! 泣く泣くわらわの身体を差し出したというのにぃ~!」
「そうだっけぇ?」
こいつと出会った時のことを思い出す。
寝てるこいつを蹴飛ばして、戦いながら腕とか尻尾とか羽根とか採取して、泣きながら命乞いを始めたこいつに適当に返事しながら鱗を剥まくって……何か可哀そうになったから命までは取らないでやって……。
「うん、俺の優しさ溢れるエピソードだったな!」
「どこがじゃ! うわぁ~ん、どうせわらわの身体だけが目当てだったんじゃろ~! せっかく身体を差し出したのに、知らない男にあげたしぃ~!」
何で今人化した!? 何でこのタイミングで幼女になった!?
言い方も何か誤解を招きそうだし!
「うーわ。アレク様、さすがにそれはサイテーだと思いますよぉ~……」
そして最悪のタイミングで聖奴隷が来やがった……最悪だマジで。
「『睡眠』!」
「ぐ~すぴぐ~」
寝るの早っ。
「うわぁぁぁ~ん! せっかく眷属になれると思ったのにぃ~!」
「してやる! 眷属でも何でもしてやるから! とにかく落ち着けって!」
やったーよくわからんけどドラゴンの眷属ゲットー!
「……ほんとぉ?」
「ほんとほんと!」
眷属ってあれだろ? 従順な下僕!
「……ならばほれ、さっさと一物をだすがよい」
「……は?」
この幼女ドラゴンは何を言ってるのだ?
「眷属の契りじゃ。ほれ、さっさと脱がんか」
「意味わからん。あと俺、ロリコンじゃないので」
そういうのは小次郎担当ですので。
「気にするでない! こう見えてもわらわは1000年以上生きておるからの!」
「無理無理無理! それに眷属ってただの下ぼ、家来みたいなもんだろう!? こんなことする必要ないでしょうが!」
さもなければ男の眷属とも……おや、何だかカオルコの喜ぶ顔が浮かんできたぞ?
「何を言っておるんじゃ! 眷属って言ったら伴侶のことに決まっておるじゃろう! むふふ~これでわらわも神龍に!」
「そこのトカゲ。いい加減にしなさい」
おぉ、愛しのメイちゃんが……かつてない形相で……ごめんなさい。
「コヒュッ!?」
「坊ちゃまの知り合いかと思って黙ってましたが……そう言う事なら、わかりますよね?」
わーメイちゃんのこんな顔、初めて見るぞー。
「……ご、ごめん……なさい……なのじゃ」
◆◇◆◇
「うむっ! おいしーのじゃ!」
あの後お腹が減った宣う幼女ドラゴンに仕方がなくご飯を食べさせているとこ。
しょうがないよね、胃の中の物全部無くなっちゃったからね。
ちなみにだが、ドラゴンの残骸は丸ごと『時空間収納』にしまってあるぞ!
「どうぞ。トカゲ肉の丸焼きならまだまだたくさんありますからね」
「う、うむ! メイちゃん殿ははやさしーのじゃ!」
……俺は今、もしかしたらとんでもないものを見ているんじゃないか?
クネクネも端っこの方でプルプルしている。
あいつまだうんこしてんのか? いや、今は恐怖からか?
けど、もう何カ月も時間があればプルプルしてんだよなぁー。
近づくとじゃれついてくるから様子も見にくいし。
「ぴよっ!」
「おわっぴよすけまで来たのか! よしよし、可愛い奴め!」
幼女ドラゴンに餌を与えてるとぴよすけがすり寄ってくる。
「『今日こそ殺してやるー』って言ってますわ!」
「嘘でしょ」
「何じゃ、カラドリウスの幼子までおるのか! あっちでプルプルしてるのはアトラク・ナクアじゃし……ここは地ご……賑やかじゃのう」
その言葉に改めて見まわす。
蜘蛛、ひよこ、幼女(ドラゴン)、エリー、ついでに眠ったままの犬(聖奴隷)。
「な、何ですの! そんなに見つめて……」
「……」
……もうお腹いっぱいですな!
「ふぅー食った食ったのじゃ!」
「お前、食い終わったんなら帰れよ」
このまま居つかれちゃたまんない。
「何じゃい何じゃい! 眷属の契りを交わそうと……すみません、帰ります」
そう言ってドラゴンの姿に戻り、飛び立つドラゴン。
「また日を改めてくるからの! それじゃぐえぇっっ!?」
突如、そのドラゴンに向かってクネクネが糸を吐いた。
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