第103話 冒険者ナンバーワン決定闘技大会開催

 そんなこんなで、いよいよ闘技大会が開催される3カ月が経った。

 ここのところお家のあれこれで忙しいみんなも今日は応援に来てくれてるぞ!


 先日発表された挑戦者の確認をしよう!


 1位通過『確かな信頼』セーヌ・カイマー、1050P獲得。

 2位通過、俺アレク。1000P獲得。

 お、3位通過で『百発百中』のカオルコだって。605P。

 ……。


 以下省略。


「何でぃ、1位通過じゃなかったんか……」

「アレク様が討伐した時期が早過ぎましたね。相手も対抗してSSモンスターを討伐したそうですよ」

 セイスが説明してくれる。なるほど、それはしょうがないな。


「ちなみに、討伐は期間をほとんどいっぱい使っての成功だったようです」

「ふむ。それでもSSランクの魔物を討伐するとはまぁまぁ強そうではないか!」

 アレを試すにちょうどいいかも知れぬ!


「どうでしょうか。確実に言えるのは、彼はドルギマスの手の者、と言う事です」

「おー、彼らの派閥の最後の希望って訳だ! んなら、遠慮なくぶっ殺せるなっ!」

「坊ちゃま、殺してしまうと失格どころか犯罪奴隷となるそうですよ」

 えー! と思ったけど、そりゃそうか。


「アレクの勇姿が見れるんですのねー! 楽しみですわぁー!」

「疲れたらおっぱい飲ませてあげまちゅからねぇ~」

「アレク、頑張ってね!」

 エリーにアラアラ、おまけでアンジェも応援に来てくれたぞ!

 かっこいいところ見せなきゃねっ!


 ◆◇◆◇


「さぁっ! いよいよ始まりました! 冒険者のナンバーワンを決める闘技大会! 開催いたします!」

 会場が騒然となる中、司会のお姉さんが開催を宣言する。

 大会出場者は会場中央に設置されている闘技場に集められていた。


 それにしても、まだ大会名はないのかしら。


「改めてルールの説明をします! まず1つめ、大会は32名による勝ち抜きのトーナメントを合計5日間で行います! 2つ、武器魔道具の使用は自前の物全て使用可能! 3つ、勝敗は意識喪失やそれと同様の状態に陥らせた場合、もしくは降参の宣言による! 相手を死に至らしめた場合は、通常の法に則り裁かれるのでお気を付けください!」

 なるほどなるほど、つまり相手を気絶させる必要がある、と。精神魔法で錯乱させるのもいいかも。


「優勝者にはなんと! 史上初のSSランク冒険者の認定をリビランス王直々に下賜されます!」

 え、王様とかどうでもいいんですけど。


「さらにさらに! 今後も定期的に開催されていく見込みとなる本大会、その名称を! 今大会優勝者の名を冠することとなりました!」

 ……うわぁ……優勝したくねぇ……。

 一気にやる気が下がってきたぞぉ……。


「うおーぜってぇ優勝してやる!」

「『ロドリゲス杯』! ぜってぇ『ロドリゲス杯』にしてやるっ!」

 あ、案外好評なのね。


「『カオルコ大会』って微妙じゃ~ない?」

「おぉ、カオルコじゃないか! 俺も『アレキサンダー杯』でやる気を無くしてたとこだよ……」

 同じく転生者のカオルコ。こいつになら優勝を譲っても……。


「そういえ~ば、セイスさんが言ってたよ。もしアレきゅんが負けるようなことがあれば……」

「……あ、あれば……?」

「……い~や、やっぱ言うのや~めとく!」

「……」

 わかりましたよ、頑張りますよ……。




 説明が終わったようで、一度闘技場から出るように促される出場者。

 カオルコと別れ、俺は会場にいたメイちゃんたちと合流する。


「坊ちゃま、お疲れ様です」

「アレクの出番はまだですのー?」

「アレクが戦うのは最後みたいですよ」

 まじか。確認してなかった。


「確認してなかったという顔をしてるので一応言っておきますが、1位と2位は最初と最後で決まっています。それ以外はくじ引きと言う名の不正が働いているようですが」

 あぁ、最後まで盛り上げるために挑戦権を得た順位で1位と2位は最後になるようになってんのね。


「不正ってどんな感じ?」

「恐らく……まぁ、見てればわかると思いますよ」

 ……?




「お待たせしました! それでは早速記念すべき第1試合を開始していきたいと思います! 初戦はこの方! 冒険者ギルドにこの方あり! 一番SSに近い男! 安心の信頼と実績! ついた2つ名は『確かな信頼』! セーヌ・カイマーだぁーっ!」

 初老に入ろうかと言う、厳つい男性が会場に入る。鍛え上げられた肉体はもちろんのこと、その眼力からはなかなかの圧を感じる。


「カイマー! 頑張れよぉーっ!」

「お前に賭けてんだからなぁっ!」

「SSランクになったら奢ってくれぇー!」

 有名な冒険者のようで、会場も盛り上がっている。


「対戦相手は、冒険者ランクA! その名もタカットゥー・リッキー! こちらも武勇が知れ渡っている有名な冒険者です!」

 まるでお相撲さんのような体格をした選手だ。


「さぁさぁ! 開幕から実力派のお2人の対戦となりました! 一体どんな試合を見せてくれるのでしょうかっ! それではよろしいですか……?」


 ふむ? 2人の様子がおかしいな……一切戦う様子が感じられない。


「両者見合って……ファイッ!!!」




「まいった。降参だ」

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