第74話 これからのこと
メイちゃんと過ごした次の日。
「キュッキュッ!(わぁーい! 今日はアレクといっしょー!)
そう、今日はクネクネの番。どうやら前まで住んでたところを案内してくれるらしい。
正直いるか? と思ったけども、他の女性陣から行ってやれとのことでしたので……。
そしてわかった衝撃の事実! なんと!
クネクネは女(メス)だったのだ!
「キュッ! キュッ!(こっちだよー!)」
何かキュッキュ言いながら俺を咥えて走り出すクネクネ。
相変わらず何言ってんのかわからん。
「キュー!(ここが寝るとこー!)」
「おー、ここはトイレか?」
「キュッ!(違うよ~!)」
「ちょうどおしっこ出そうだったんだ、ここでしてもいい?」
「……キュゥ(……うぅ、もうしてる……)」
何だか俯いてるクネクネ。しまった、女の子だから恥ずかしかったのか!
「すまない、デリカシーに欠けたな!」
「……キュッ!(……ううん、いいよー!)」
途端に元気になるクネクネ。そしてすりすりしてくるクネクネ。
「キュッキュッ!(もうここには来ないし! アレクと一緒だもん!)」
「あはは、くすぐったいよクネクネ! ほら、次のとこ行くぞ!」
「キュッ!(うん!)」
再び俺を咥えるクネクネ。
「キューキュー!(ここがご飯食べるとこー!)」
「おー、ここもトイレか?」
「キュッ!(違うよ~!)」
お、今度は何となくわかったぞ! クネクネの魔力の揺らぎ的に俺の見解が異なるということを示している!
「ってことは、ここはゴミ捨て場だ!」
「キュゥ……(違うよぉ……)」
どうやらまたも違ったらしい。気持ちは何となくわかるが、言葉はわからん……。
エリーには何が見えているのだろうか……。
「う~む、すまないなクネクネ。お前の言葉を理解できなくて」
「キュー……キュッ!(ううん……そうだ!)」
突然のしかかってくるクネクネ。もこもこプニプニのお腹でスリスリわちゃわちゃぁ……。
「わは、何だよクネクネ~、くすぐったいって! やめろよ~!」
「キュー! キューっ!(もうお家の案内終わりーっ! アレクと遊ぶー!)」
感じる魔力は……楽しさ、かな?
ならば、我も全身全霊を以て応えよう!
「やったなー! くらえ! 『ムツゴロニック・レイ』!」
光の速さで、よーしよしよしよし……。
その後、日が暮れるまでお互いをもみくちゃにしたり、お昼寝したりして過ごした。
いつもとあんまり変わらなかったような……ま、楽しそうだったしいいか!
「キュゥ……キュゥ~……(やっぱり、お話したいなぁ……アレク……もっと一緒にいたいよぉ……)」
◆◇◆◇
翌日、今日はみんなでハンダートの領主館に来ている。
アラアラが無事だったことを『おうまさん』のみんなにきちんと伝えるためだ。
一応無事については当初から『スマホ』で伝えてはいたが、あんなに心配していてくれていたんだ、そこは会ってしっかり報告しときたい。
「みんな~! ご心配おかけしました!」
「アラアラ! 本当に無事で良かった……歓びのあまり即身成仏しかけましたぞ!」
「うっうぅ……ほんと、よかったよ……☆」
「やはりっ! やはりっ破壊の後には創造ありっ!」
それだと別のアラアラじゃない?
「本当に……ありがとうね~! それと、ご挨拶が遅れてごめんなさい!」
「あー、遅れたのは俺のせいでな。すまない」
乳繰り合っていたのと、色々用事がありましてね!
「いいよいいよっ! とにかく無事でほんと良かった! ところで、アレクっちとはいい感じにいってんの~?」
「うん~! だから、『おうまさん』やめようと思って~」
へ? はっ!? 初耳なんだけどっ! ノリが軽いしっ!
「りょ☆」
「さもありなん」
「我、新たなる創造を歓迎せり!」
いや軽いっ! 軽すぎっ!
「いやいや、いいのかよ! あんなに心配してたのに!」
「え~? いんじゃねっ?」
お前は特別軽いっ!
「元々、拙僧らはアレク様のために冒険者活動をしていたに過ぎませぬ。アラアラがアレク様の傍にいたいと言うのなら是非もないこと」
「彼の者、遂に至れりニルヴァーナ!」
ニルヴァーナ! じゃねぇんだよ、むしろ真逆の境地……。
「まっ! ちょうど方向性の違いで『おうまさん』は活動休止しようと思ってたんよね~」
バンドかよ。って、えぇ~!?
「お前ら上手く行ってたじゃんけ!」
「拙僧は身体能力や魔力制御、ヤハは技術などそれぞれの得意分野を伸ばすための特訓が必要と感じまして」
「我ら、自信を粉々に破壊されたり!」
あー先日のゼアの件ね。シヴよ、自信満々に言う事じゃないけどな!
「確かに方向性はそれぞれで違うけど……びっくりさせんなよ」
「「「?」」」
あ、伝わんないのかこれ。
「そういう事ですので、アレク様から依頼されているリビランスでの件が終わり次第、暇を頂戴したいと思います」
「例の件、そろそろじゃねってセイスちゃんが言ってたよん☆」
ヴ~ヴ~。
「おぉ、噂をすれば。セイスからですな、少々席を外します」
「リビランスの件って、何ですか?」
この件、というかリビランスのことを一切知らないアンジェが聞いてくる。
「んー、まぁ……何て言うか……」
「失礼、いよいよ始まるそうです! 冒険者ギルドへの革命が!」
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