第56話 エロフランド(仮)
「さぁ、ここがエロけふん、我が領地(仮)です!」
ハンダート領の端っこ、首都から海に面した方向に広がる広大な森。
辺境地と言うことでまぁまぁ魔物がお強いこともあって、開発があまりされていない自然豊かな森が広がっている。
そこにエルフの女性たちを連れてきて住んでもらおうと言う計画だ。
土地は余ってるし、獣人の件で人口も減ってきているし、ちょうど良かった。
そのための準備として、一度エルフの村に戻り、なぜエルフが滅多に見つからないか、その理由となる魔道具を見せて貰った。
周囲の木々と同様の幻覚を生み出す効果と、防壁結界の効果を持つ魔道具。
なので、似たような魔道具を作り、しばらくはここで落ち着いて過ごして貰おうという算段だ。
「本当に、ここまでして頂いて……何とお礼を申し上げたら……」
「あぁ……物語の聖人様のよう……」
うむ、いい感じに好感度が上がっているぞ!
「俺は聖人じゃないよ。正直、みんなをここに連れてきたことにも下心があるし」
「し、下心……ですか?」
「まさかっ! 私のように性もがっ!?」
やめろ聖奴隷っ! 危うく全てぶち壊しじゃないかっ!
「それはね……この地でみなさんに幸せに生活して欲しいんだよ! いずれ俺もこの地で生活する予定だから、ご近所さんがいい人達だと嬉しいでしょ!」
我ながら胡散臭いことを言ってるなぁーと思う。
だってしょうがないじゃん! 美人さんだからとかワンチャン狙いとか言えるかっての!
「まぁ、やっぱり聖人様みたいですね」
「わ、私頑張りますっ! 聖人様のお役に立てるように!」
「ううん、やりたいことやってくれたらそれでいいよ。あ、あと俺の事はアレクって呼んでね」
よし、エロフランドの建設は順調だ!
「モゴモゴッ(本当に聖人なら、出会って10秒で奴隷にしないと思いますぅっ)」
こ、こいつ脳内に直接っ!
その後、簡易の小屋を建設したり、とりあえず生活に必要なものを用意したりで日が暮れ、そのままお泊りすることに。
ちなみにメイちゃんとエリーは聖奴隷と一緒の小屋で寝るそうだ。ちなみに。
そして今、俺は自分専用の小屋で横になっている。目の前にはなぜかあのムッチリママさんがいる。
「あ、あのぉ~、何か御用でしょうか……?」
「……アレク様、私は伊達に長生きしていません。アレク様の本当の下心、わかっているつもりです」
「なななななな何のことかなっ!? かなっ!?」
おっ持ち帰りィ~するつもりは全くございませんでしたわよっ!?
「……アレク様、実は私そう言ったことはもう何十年も……ですから、素敵な殿方を前に身体の疼きが止まらないのです」
「……」
「どうか私にお慈悲を頂けませんか……? もちろん、メイ様たちのお邪魔をするつもりはありません。今夜だけでも構わないので……」
勃った! エロフランドが勃った!
絶世の美女からそんなことを言われて断れる男がいるだろうか。いたら性的趣向が私とは別の方ですね。
パーシィ、元気かなぁ……。
◆◇◆◇
「おはよ、メイ、エリー」
「(つーん)」
あ、これ。全部知ってるやつだ。
「アレク~! おはようですの! ミントさんとのお泊り会楽しかったですわー!」
一方エリーのこの感じ、全く気付いていない。
以前のエリーの言葉を借りるなら、『とても大切なことを見逃してしまった』のだけれども。
「それは良かったね。こほん、メイさん。これ、受け取ってくれませんか……?」
こうなると思って、昨日急いで作っておいた『時空間収納』付与済みの指輪。
「まぁ! これを私に? 嬉しいです!」
よし、チョ……チョー可愛い!
「今後もこうして増えていくのかと思うと正直複雑ですが、それでも嬉しいものは嬉しいです。ありがとうございます」
「……はっはっはー!」
最早笑うのみよ。
「あっれー! もしかしてもしかしてっ! 私も貰えちゃう流れですかーっ!? いやーまいっちゃうなぁーっ!」
「……」
何言ってんだこの奴隷。元気なこいつ、何かウザい。
「いいんですよアレクさん! 遠慮しないでっ! ささっ! ガバッとハメちゃってくださいなっ! ガバッとっ!」
「……」
……ウザッ。
うざいので、以前適当に作った格好良く言えばチョーカー、俗に言えば首輪をハメてやる。
「わーい……って何ですかこれ! 何ですかこれっ! 首輪じゃないですかーっ! 何で首輪なんですかーっ!?」
「や、うん。まぁ、何か犬みたいで可愛いかなって」
本当に犬みたいではある。
「えーっ!? う~ん、まぁそう言うことならいいでしょう! 今回はこれで我慢してあげますねっ! お次はもっと可愛いのお願いしますよーっ!」
次……?
その後数日はランドのためにと、いろいろ行動をした。
魔法の適性検査だったり、訓練だったり、慰めたり……。
日に日に積極的に魔法の訓練に取り掛かる彼女らを見て、やはり連れ出して良かったなぁと思う。美人さんには明るくいて欲しいもんね!
噂通りと言うか、やはりエルフの方は魔法が得意なようで順調に上達している。
長年平和に過ごして来た彼女ら、そのためか、現在は男性衆も最大でBランクの魔法程度しか使えなくなっていたらしい。
もうすぐBランクの魔法が使えそうな彼女らを見て、もう男性にいい様に使われることもないだろう、と思う。
彼女らが自分たちだけで生活できるようになるまで、そう長くはかかるまい。
そしてエルフの村の平和を破ったオーク。実は奴がオークキングだったようだ。
知能が高く、これまでの経験で言葉まで覚えていたんだろう、とのことだった。
こいつの首をギルドに提出。晴れてB-5ランクまで一気に駆け上がれた。
さすがに一度にAに行くのは問題ごとの方が多くなりそう、とのことだったのでB-5。
当初の予定も達成できたし、美人な愛人、じゃなくて隣人たちもできて実に有意義な冒険だった。
「アレク様ーっ! 指輪まだですか指輪っ! もう待ちくたびれちゃったんですけどーっ! あ、できればダイヤモンドの指輪がいいですぅ~っ!」
この聖奴隷、どうしよう……。
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