7.理不尽な依頼ですね。

道から外れそうになってきた話題。

そこまで仕切り役じゃない私が仕切ってみよう。


「こほん。それで、その話を持ち掛けてきたということは、なにかあるのですよね?ハルさん」

「ああ、勿論」


頷いて、今回は丸まっていた地図を広げた。まだ新品らしく、カレンダーのにおいがした。


「ちょっとハル、いまから冒険しろっていうんでしょう?ならもうちょっと古そうな地図にしてきなさいよ。味が台無しですわ」

「……古い地図だと、今と地形が微妙に違ってくるので。それに、海賊が持っているような地図なんて早々ないんですよ」

「―――あのちょっと待ってください。冒険って何のことですか」

「「……え?」」

「わたし、なんか変なこと言いました?」


首をかしげてみるが、ふたりが笑いをこらえているのが目に見えて分かったので、怒りが込み上げてきた。


「ちょっとー!何かあるなら言ってください!」

「いやだって……」

「ハナって、意外と頭悪いんですのね」

「……はぁ⁉」


めちゃめちゃイラつく。ハルも頷いちゃってるし。

どういうことだ。少なくともこの二人よりはいいはずだ。(そう、身分は関係ない)


「いや、アスカ嬢、ちょっと流石に言い方がきついっすよ」


ハルはハルでなんか素がでちゃってるー。

なんなんだ。話がごちゃごちゃだぁ。


「ふふふ。まぁ結局のところ、ハルがハナにこの話を持ってきたってことは、犯罪組織を撃退しろってことでしょう」

「なるほどぉ。―――アレ、」

「よろしくね」

「そっ、そんなのひどすぎません⁉」


理不尽な依頼ですね……。

でも、いやいやいや。と、お嬢様もハルも首を振って余裕そうに抗議する。


「報酬はたんまり用意してあるから」

「それに、ご領主に行っていないことを、ご領主の目に付かず処理できたら、このことを知っているものからは、感謝され、モッテモテですわよ」

「えっ、モテ……」

「―――つまり、地位と名声アップ……」

「めったにないチャンス、やってきて損はありません!」

「ならやりま……」


「やっぱ君に依頼するのやめる」


「「ええっ」」


急にハルさんが発言をする。それは、私には一生分からない理由なのであった。

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