2.お嬢様⁉一体どうするつもりですか⁉
お嬢様の部屋は4階にあり、端から端まで、約20メートルもある。
そして、薄い半透明のレースが装飾されたカーテンからは、日光の木漏れ日がきらきらと光っていた。
ティータイムなので、メイドさんから届けてもらったお茶とお菓子を受け取ると、肺に空気を入れた。
「お嬢様。ティータイムですよ―――」
振り向きざま言うと、お嬢様はベランダに立って何かを持ち、手を伸ばしていた。
よく見ると、ピンクや黄色が見える。
「お嬢様⁉一体花壇をどうするつもりですか⁉」
ピンクや黄色の乗ったものの正体は、花壇であった。
そして、お嬢様はそれを4階から落とそうとしている。
動きがとまり、華奢な体がこちらを見る。
「だってハナ、下にジョージがいるんですもん」
「あぁ……。いや、でもだめですからね!」
全力でお嬢様に駆け寄り、シュッと花壇を取り上げる。
「うぅ。いいじゃありませんの。だってジョージですもん」
ぶぶーと文句をいうお嬢様。
ジョージというのは、お嬢様の従兄の偽名である。
自分より下の人物に本名を教えないために、一応偽名も持っているが、基本使わない。ただ、お嬢様はジョージの1歳年下なので、お嬢様のほうが身分が低い。よって、本名は知らないらしい。時期領主様もジョージになるとの噂。
いわゆるお坊ちゃま……。
なので、かなり態度が子供なのだ。
お嬢様に向かってチビガキと……それはどっちだよ!と怒鳴りたくなるがお嬢様の教育係の私にはそんなこと言えるはずもなく……。
また、メイドをこき使う。まったく。メイドに友達がいるけど、結構大変な仕事(よくお茶をこぼすとか、ブーツの紐も結べないんだそう。
まぁ、性格的な問題で周りからの目は厳しい。
お嬢様ももちろん好いていない。
そして今日、月に一回のお嬢様との面談がある。
さすがに身分が高い年上に文句は言えないのか、お嬢様は毎回笑顔を取り繕っているが、内面はボロクソジョージと念じているだろう。あー恐ろしい。
お嬢様は結構霊感が強いので、いつかジョージを呪ってしまいそうだ。
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