第8話 本屋デート?
みのりと健吾君の距離を縮める方法として、宇佐美さんは本屋に行くのを提案した。
彼女は“真面目な話も遊びの話もできる最適な場所”と言ってたけど、説得力があるから口を挟まなかったよ。
僕・みのり・宇佐美さん・健吾君の4人は、ついに本屋に到着した。大きい店だから存在は知ってるけど、入った事はないな~。
道中、みのりと健吾君は隣同士にいながら会話を一切しなかった。本屋は話題を提供するだけで、それから先は2人次第。頑張ってほしいよ。
「2人はこの本屋によく来る?」
宇佐美さんが僕とみのりに訊いてきた。
「いや全然…」
漫画は電子で読むのが当たり前になってるから、寄る理由がない。
「あたしもです」
「そうなんだ。私は参考書を買うためによく来るよ」
宇佐美さんの発言を聴き、健吾君が嫌そうな顔をする。勉強が話題になってるからね…。
「私が店内を軽く案内するから、その後に参考書コーナーに行こっか」
「えぇ~」
不満を漏らす健吾君。
「健吾。バカすぎると、みのりちゃんに愛想尽かされるよ?」
健吾君はみのりをチラッと見た後…。
「わかった、おれも一応そこに行く」
みのりの前で情けないところを見せたくないみたいだね。
こうして宇佐美さん先導の元、僕達3人は本屋に入る。
宇佐美さんの案内で分かったけど、この本屋にはいろんなジャンルの本があるみたい。広さは伊達じゃないって事だね。
一通り案内した彼女は、さっき言った通り参考書コーナーに足を運ぶ。
「私、この参考書のシリーズが好きなの」
宇佐美さんは本棚にある本に手を伸ばして取った。
僕とみのりは彼女の隣に立ち、中身を見る。…たくさん書いてある割にごちゃごちゃしてなくて読みやすい。宇佐美さんが気に入るのもわかる。
健吾君はそばにいるものの、本棚を見ている。両隣に僕達がいたら立ち位置がないか…。
「他にオススメなのあります?」
「えっとね…」
みのりが参考書の話題を広げ始めた。勉強熱心なのは良いけど、健吾君と仲良くなること忘れてない?
…当の彼はここにいるのに飽きたのか、あくびをし始めた。このままだといつ「帰りたい」って言い出すかわからない。
「健吾君、漫画コーナーに行かない?」
彼の気を紛らわせないとね。
「良いよ」
僕は君を思って言ったのに“付き合ってあげる”みたいな態度を取られたぞ…。
「宇佐美さん、僕達漫画コーナーに行って来るよ」
「わかった」
「行ってらっしゃい。お兄ちゃん」
2人は別行動をすると聴いても、参考書トークを止めないようだ。
みのりがこんなにしっかりしてるなんて…。嬉しい反面、本当に追い抜かれそうで心配だよ。僕も頑張りたいけど、勉強の事を考えると眠くなるし…。
まぁ良いか、焦らずのんびり行こう。僕は考えるのを放棄して、健吾君と一緒に漫画コーナーに向かう。
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