第5話 意外な繋がり
自分の席の近くで、友達の吉澤君と『恋愛』について話した僕。そのやり取りを隣の席の宇佐美さんが聞いてたみたい。
彼女には“健吾君”という弟がいるらしく、みのりと同学年らしい。健吾君は彼女が欲しいようで、彼氏が欲しいみのりとマッチしている。
2人がうまくいくかわからないけど、悪い話じゃないしみのりに話してみよう。
放課後、僕はみのりと一緒に帰るために校門付近に向かう。…彼女はまだ来てないか。焦らずゆっくり待とう。
「お兄ちゃん、お待たせ」
校門からグラウンドでやってる野球部の活動を見てる時に、隣からみのりの声がした。
「うわぁ! ビックリした!」
いつの間に来たんだ!?
「そんなに驚かなくて良いじゃん」
クスッと笑うみのり。
「ごめんごめん、…じゃあ帰ろうか」
「うん」
ぼくとみのりは横に並んで、家に向かって歩き出す。
「みのり、今日面白い話を聴いたんだ」
「面白い話? なになに?」
興味を持ってくれてるようだ。
「僕の隣の席に宇佐美さんってクラスメートがいるんだけど、その人の弟が彼女を欲しがってるみたいなんだよ。みのりと一緒の1年だって」
「宇佐美…。その弟って“健吾”って名前?」
「そうだよ、よく知ってるな」
もしかして有名人? あんな中学に芸能人がいるとは思えないから、学年でトップクラスで頭が良いとか? …運動神経やイケメンの線もありそうだ。
「だって、あたしと同じクラスだもん」
それらに触れない以上、僕の考え過ぎだったみたい。
「健吾君を知ってるなら話は早い。もしみのりが興味あるなら、健吾君と距離を縮めてみないか? 彼氏が欲しいみのりとマッチしてるだろ?」
「宇佐美君の事はよくわからないし、縮めるのは良いと思うけど…」
みのりの態度が気になる。どうしたんだろう?
「なにか気になる事があるのか?」
「いきなり1対1は厳しいって。あたしにとって宇佐美君は、ただのクラスメートなの。話すどころか、近くの席になった事すらないんだから」
「そうなのか…」
みのりの心配する理由はわかるけど、僕に出来る事はあるのかな?
「ねぇお兄ちゃん。あたしが宇佐美君と会う時、そばにいてよ」
「えっ?」
僕がいたら邪魔だよね?
「お兄ちゃんがいればあたしは安心できるし、重い空気を何とかしてくれるよね?」
その期待のほうが重いんだけど…。とはいえ、僕から声をかけておいて拒否するのもなぁ~。
「…わかった。そういう風に宇佐美さんに話しておくよ」
「お願いね」
……家に到着したので、僕が玄関の扉を開けてからみのりも続いて入るのだった。
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