第3話 彼女に興味ある?

 夕食中に妹のみのりが、クラスメートが付き合い始めた話をした。それだけなら気にならないけど「彼氏が欲しい」と言い出したのは驚いたよ。


僕が知らない間に、みのりは成長してるんだな…。



 「お兄ちゃんのクラスはどう? そういう話聴く?」


全員の夕食が終わりに近づく中、みのりが訊いてきた。


「いや、聴かないなぁ…」


友達とゲームやアニメの話ばかりしてるから、聴く機会がない。もっと周りに目を向けたほうが良いかも?


「ホントに~?」


「みのり。みのるぐらいの男子はね、ゲームとかアニメに夢中なのよ」


お母さん何でわかるの? もしかして超能力者?


「それわかるかも。技とか決め台詞をドヤ顔で言ってるの見た事ある。男子って子供だよね~」


「ね~」


お母さんとみのりが意気投合してる。僕はアウェーみたい…。


1歳下で子供だと思い込んでいたみのりが、僕とは違う視点で物事を見てるっぽい。このままだと立場が逆転しそうな気がする。


情けないお兄ちゃんと思われないように、僕も少しずつ変わるぞ~!



 夕食とお風呂を済ませた僕は、自室で漫画を読んでいる。そんな時に、部屋の扉がノックされる。


「入って良いよ~」


「お兄ちゃん、ゲームしよ」


僕より先にお風呂を済ませたみのりが遊びに来た。


「夜遅いから少しだけな。何やる?」


「〇リオカート!」


「はいはい」


僕はコントローラーをみのりに渡し、ゲーム機を起動させる。起動後はキャラクターとカートセレクトをするんだけど…。


「…今日はこれにしようかな」

彼女は少し悩みながら、何とか決めたようだ。


僕は勝つ事にこだわっているから、キャラとカートはいつも固定。それに対し、みのりはいつもバラバラだ。


こういう柔軟性? も成長したって感じがする。僕の考えすぎかもね。



 レースが始まり、僕とみのりはスタートダッシュを成功させる。お互い何度もやっているし、運が悪くない限り僕達はCPUに負けたりしない。


「ねぇ、お兄ちゃんって彼女に興味ある?」


「えっ?」


レース中におしゃべりする事はあるけど、よりによってそんな内容?


「付き合い始めた話は聴かないって言ったけど、お兄ちゃんは興味あるのかな~? と思ってね」


彼女か…。今の気持ちを正直に伝えよう。


「興味あると言えばあるけど、特に何もしてないな。みのりは何かしてるんだろ? 『彼氏欲しい』って言ったんだから」


「してないよ、お兄ちゃんと同じ。簡単に彼氏作れたら苦労しないって」


みのりがに行ったと思ったけど、同じ場所にいたみたいだ。少しホッとしたよ。


「みのり、彼氏できたら教えてくれよな」


どうせなら、彼女の変化を知りたいからね。知らない間は嫌だ。


「良いよ。その代わり、お兄ちゃんに彼女出来たら言ってよね」


「もちろん」


どっちが先に伝える事になるのかな? それは神のみぞ知る…。



 それから数レース後にゲームの時間を終えたので、みのりは自分の部屋に戻って行った。


彼女には2つの変化がある。まず“ブラを付ける”という体の変化。次に『彼氏が欲しい』という心の変化。他にもあるかもしれないね。


僕はみのりのように変わった事はないと思うけど、彼女は僕の事をどう思ってるんだろう? 気が向いた時に訊いてみようかな?


なんて思いながら、僕は部屋の電気を消して就寝する…。

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