第2話 女になってる…?

 夕食の時間になったので、僕は自分の部屋から出た。すると廊下に良い匂いが漂っている。今日の夕食は“カレー”みたいだ。


匂いで食欲を刺激されて、お腹がすいちゃった。すぐ1階のリビングに行こう。



 「お兄ちゃん、おそ~い!」


リビングに入って早々、既に席に着いている妹のみのりに怒られた。


「ごめんごめん」


「3人揃わないと食べられないんだから早くしてよ~」


「わかってるって」

僕はすぐキッチンに向かい、カレーをよそう。


みのる。そんなに食べられるの?」

お母さんが心配そうに言う。


「大丈夫。カレーは大好物だから」


小学生の時は限界を知らずによそったけど、中2になった今は問題ない。


カレーの皿を持った僕とお母さんがほぼ同時にキッチンを出て、ダイニングテーブルの席に着く。


僕が座るのは、みのりの前だ。お母さんは彼女の横になる。お父さんは僕の横だったけど、単身赴任でいないから空席のままだ。


「早く食べよ食べよ」


みのりが急かす。カレーが好きなのは兄妹同じだ。


「はいはい。…いただきます」


「いただきます!」


お母さんの後に僕達も言って、カレーを食べ始める。



 「お母さんのカレー、おいし♪」


みのりはご満悦だ。見ている僕の頬も緩みそうだ。


「それは良かったわ」


みのりがカレーを食べる様子は昔と変わらない。もし彼女が女になったとしたら、多少の変化があると思うけど…。


あ、変化といえばさっきのブラがそうだった。僕はみのりにバレないように胸をチラ見する。


…多少のふくらみはあるけど、ブラはどれだけふくらみに貢献してるんだろ?


「お兄ちゃん、どうかした?」


みのりが食べる手を止めて訊いてきた。


「何でもないよ」

まさか気付かれるなんて…。


「ふ~ん。カレーが付いてるかと思ったよ」


お母さんがそうだけど、大人って周りを気遣うというかチェックする余裕があるよね。みのりもカレーを食べつつ、僕の視線に気付いた。


これは女になった証? う~ん、どうなんだろ?



 「お母さん聴いて聴いて! クラスメートのひなちゃんが玲央君と付き合い始めたって!」


「中学1年になると、そういう話題が増えるわね~」


恋愛か…。みのりも興味あるのかな? 僕の中では『恋愛=大人』って感じだね。


「あたしも彼氏欲しいな~」


カッコ良い人に興味を持つ様子は今まで何度も見てきたけど、彼氏が欲しいというのは初めて聴いた。これは大きい変化に入るよね?


そんな事を考えてる内に、夕食は終盤を迎える…。

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