【読書日記】「晴れ、時々くらげを呼ぶ」「真夜中を切り裂け!」「三体」

 前回の更新から1カ月が開いてしまいました。


 そして、この一カ月の間に本を3冊しか読めていなかったという衝撃。


 配属が決まって通勤時間が短くなったのはいいんですが、満員電車で本を読む瞬間がないので読書量が一気に減ってしまいました……。悲しみ





 鯨井 あめ「晴れ、時々くらげを呼ぶ」


 置かれてた場所は一般文芸だったけど、表紙の感じだったり作風だったりはライト文芸っぽい?


 ライト文芸らしい、青春のさわやかさを存分に味わえる。その上、文学作品特有の「この世の真理に近い何かが織り込まれてる」あの感じもする唯一無二の魅力がある一冊。


 読書好きのキャラクターが登場する作品は、作中で知らない小説が語られがちだけど、本作は読んだことのある小説ばかりが出てきて、「わかる~」と友達のように共感してしまった。


『無関心であることは優しくできないということ』という作中の一節が、これまで私の考えてたことを完璧に言い表しててすごく印象に残ってる。


 小説という媒体への愛を随所に感じされて、まさしく小説好きのための小説です!






 風祭 千「真夜中を切り裂け! 僕らをつなぐビブリオバトル」


 こちらもおそらくライト文芸にあたる作品。しかも、「晴れ、時々くらげを呼ぶ」に続いて小説が題材となってる。


 タイトルからしてビブリオバトルの良さを感じられました!的な感想がふさわしいと思うんだけど、私はそことは全く違う点こそが本作の魅力だと思う。


 なんなら、ビブリオバトルはほんの一要素にすぎない。


 この作品には、主人公のことをいじめる鳥谷部という人物が登場する。そして、この鳥谷部こそが本作の魅力の8割を占めていると言っても過言ではない。


 昔からずっと本ばかり読んでいる陰キャ主人公である来斗はクラスの中心的存在である鳥谷部に憧れていた。しかし、高校生になり、久しぶりに再会した鳥谷部はなぜか来斗のことを執拗にいじめてくる。


 この二人の関係性がなぜか異常に刺さってしまって、アホみたいに泣いてしまった。正直なぜこんなに刺さったのかはよく分からない。多分、今読み返したら特になんとも思わない可能性すらある。


 小説の感想を書く時は心の中の評論家が顔を出してあれこれ冷静に分析してしまいがちだけど、本作に限って言えば「なんか刺さった」としか言いようがない。


 そして、この熱量だけの感想が『作品を人に勧める時に大事なのは綺麗さや話のうまさではなく「熱量」だ!』という作中で語られるビブリオバトルのポイントと合致する。


 小説を読んだときの環境、心理状況などなど様々な点がドンピシャでハマってしまった不思議な読書体験でした。

 やっぱり、どこでどんな気持ちで読むかって大事だよね。






 劉 慈欣「三体」


 前からずっと気になっていた超有名SF作品、三部作の一作目。最近文庫化されたので、ようやく読了。


 いやぁ、流石の一言。


 前半は中国の文革から始まって、科学者たちの謎の自殺、科学と信仰の表裏一体さ、と硬派なミステリーSFという感じで進んでいく。


 しかし、後半になるとエンタメ色がどんどんと強くなっていく。いよいよここから面白くなるぞ!というところで、一作目は終了。


 いまから続き買ってきます!


 しかも、二作目からがエンタメの本番でここまではまだプロローグだとか。これ以上面白くなったら一体どうなってしまうんだ?


 序盤のハードさは人を選ぶかもしれないが、普段からSFを読んでる人なら全く気にならないと思う。SFを読んでない人にもぜひ読んでみて欲しい。


 ……本当にSF入門という意味では「プロジェクトヘイルメアリー」がベストとは思うけど。

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