【読書日記】「サラバ!」「四年霊組こわいもの係」
今週は後述するサラバ!がちょっと圧巻で、しばらく読書欲が冷めるほど食らってしまいました。
西 加奈子「サラバ!」
これまで読んできた小説の中で一番没入したような気がする。
かなり分厚い上下巻なのに、ほんの数日で読了してしてしまって、下巻に至っては一日で読み終えてしまった。
基本的に、読書するときって長くても2,3時間読むと疲れて、いったん休憩!となるんですが、本作は全くならずに文字通り永遠に読んでいた。
文章が水のようにすらすら入ってきて、脳に負担が一切かからない。エッセイみたいな読み心地って言うのかな?
で、これだけ面白くて絶賛しかないのに、内容を説明しろと言われるとまるで出来ないのが不思議。あらすじすら説明しがたい。
いわば、とある男が生まれた時点から、青年期までの人生を追った物語ということになるけど、その一言では説明しきれないのもまた事実。
ともかく、これを読んでいる時、わたしは間違いなく作中で描かれる人生の中にいて、本心から怒ったり戸惑ったりした。
読み終わった後、作品の内容と分厚さも相まって、拝みたい気持ちになった。いや、自分でも意味わかんないですけどね。
本当にこればっかりは読んでみて欲しいとしか言いようがない一冊です。
読了後数日間、本を読む気にならなかったし、何を読んでもサラバ!の読書体験が脳裏によぎる後遺症に悩まされた。最近ようやく回復気味です。
内容そのものの良さはもちろんあるけど、真に「没入」するとこうなるのかもしれない。その意味では、読ませる文章の重要性ですよね。
床丸 迷人「四年霊組こわいもの係」
第一回角川つばさ文庫小説賞、大賞受賞作品。
小学校とオカルトホラーという黄金の組み合わせはいつの時代も小学生たちを魅了し続けている。
本作はホラーというよりはコメディ要素に振り切っているので、怖さは皆無と言ってもいい。ただ、その分キャラクターたちの魅力は間違いなくて、なんでもない掛け合いが楽しい。
地の文のクオリティは普通に高い(時折、小学生この単語分かるかな?というのもあったり)ので、大人が読んでも幼稚さは感じないと思う。
このあたりのバランスが対象作品たるゆえんなんでしょうね。
連作短編形式なので、定期的に見せ場や困難が表れるおかげで、メリハリがつきやすくて、途中で飽きにくい。というのは個人的な学び。
シリーズ化できそうな展開か否かというのも大きそう。
改めて、児童文庫のなんとも言えないジャンル観に惹かれてしまう。児童文学ともライトノベルとも違うんですよね。読みやすさはどれも同じくらいのはずなんですけど。
何をもってして、物語に面白さが発生するのか? というのを考える上では、児童文庫はすごくいい教材だと思う。
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