第5話

   ※※※ 注意 ※※※


心が折れた瞬間があります!!!!!!!


   ※※※※※※※※※※




そこには、警察でもなく、野生の生き物でもなく、------汚いおじさんが大の字でいびきをかいて寝ていた。

「だ、誰っ……!?」

思わず声が出てしまう。

「んあ……?」

その声で、おじさんは目を覚ましてしまった。おじさんが体を起こすのと同時に、僕は後ずさりし、木の棒を勇者の剣の如く構えた。

「ああ、君の家だったか。危害を加えるつもりはないからその棒を捨ててくれないか。あまり気分のいいものじゃない。」

恐る恐る棒を床に落とす。おじさんと僕はしっかりと目を合わせ、お互いに微妙な距離を保っていた。少しの沈黙の後、おじさんが口を開いた。

「君も、家が無いのか。」

"君も"ということは、おじさんも家が無いのだろう。その容姿がそれを物語っていたが。

「……はい。」

「そうか…。こんなに若いのに。」

おじさんは首を振りながら、ゆっくりと立ち上がった。

「まぁなに、あまり長居はしないから、しばらくここにいさせてくれないか。前にいた場所は窮屈だったんでね、新しい居場所を見つけるまでの間でいい。」

いさせてくれも何も、僕はこの小屋の持ち主でもなんでもなく、僕だってここに転がり込んできた身だ。好んで一緒にいてくれとは言わないが、断る理由も、権利も特に見当たらなかった。

「はい…。全然、僕のことは気にしなくて大丈夫ですから…。」

「そうか、ありがとう。」

そう言うと、おじさんはまた横になり、こう言った。

「はぁ、今日は歩き疲れたんでね、少し寝かせてくれ。自由にしていていいから。」

そして、数分としないうちにまたいびきをかいて寝始めた。今まで一人だったから、誰かと---しかも、初対面の人と、同じ空間で生活するなんて不思議な感覚だった。

気持ちよさそうに眠るおじさんを横目に、衝撃のせいで半ば消えかけていた、恩返しの案をノートに書き込んだ。

どうやったら実現できる?おじさんへの恩返しはなんとかなりそうだが、おばさんへの恩返しについては…。

その晩は、おじさんのいびきを聞きながら恩返しのやり方をひたすら考えていた。


~その後、なんやかんやあった~

・おじさんへの恩返し

稼いだお金でいいゴルフセット一式プレゼント(匿名で配送)

・おばさんへの恩返し

ハンドメイドの個展を開く。

おばさんの元へ、自分の名前も付けて手紙を出し、ハンドメイドした作品を持って

この日時にここに来てほしい、と呼び出し、個展会場に来てもらう。

その後、スタッフが説明と手伝いを行い、近所のポスターに投函しておいた案内を見て

いろんな人がおばさんの作品を見に来てくれた。

こっそり様子を見に行ったら、おばさんは涙ぐみながらとても喜んでくれていた。

・ホームレスのおじさんとの仲が深まる

共同生活をする中で、ホームレスのおじさんとの会話も増えた。

いろんな話を聞かせてくれた。一生懸命働いていたときの話。うまくいかなかったこと。

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