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 1目だけでは、人造の腕であることしか知り得ない。

 鰭や蛇尾、荊棘の表面特性を象る天来の腕。其の重層は想到されず、選択の湾曲で手はEsE♭ANDonOR idの音を観る。同架すると或る掌裡の貝が掌性の変奏で潮汐を逆再生する傍ら、自律的に円球環が繰られ祈りを再生する。背進作用の問題圏を塑形し乍らぼくは今も、腕探しに明け暮れている。

 視認装置から遠邇の連合で星間を架橋する蜘蛛の巣越し、オルガンに於ける手鍵盤らしい腕へと野放図が収斂したのは観測の慣用としている屋上だった。其れは日毎夜毎に隠面の児戯を併列移動し月球の漸近領域で、牡牛の眼光Aldebaranを翳して翼部まで添十字に存在を証明する。そんな風に傍観を切れ切れに遠心性の随伴から綯われた破線上の1日ひとひ、天象は不意に極光を帯びた。風導管型は願意の供与を擬えて、谺の罫線素片を衍字にした異音を奏でる。雨潦へ投影される、現象論的に読み出した実視の交差点。手掌を掬い取るように、いつか手繰る遡行先の等置を線描で望遠してぼくは、水面へ指先を乗せた。

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