第10話 イフリート、ヒンヌ、行く
翌日。
レイも連れてヒンヌの村に向かうことになった。
レイがワイバーン形態になってくれるのでそれに全員で乗って飛んでいく。
「ワイバーンなんてあんまり乗れないから新鮮だなぁ。イフリート殿がパーティに入ってくれたおかげだ」
勇者はそう言っていた。
赤髪は俺を見てペロリと唇を舐める。
ちなみにこの赤髪の名前はヘレナというそうだ。
聖騎士をやっているらしいが
「性騎士だよなぁ」
「ん?」
ニヤニヤしながら俺の顔を見てくるヘレナ。
「お姉ちゃんのおっぱい揉みたい?」
「揉みたい!」
「しかたないなぁ、モミモミしましょうねぇ♡」
そう言って揉ませてくれるお姉ちゃんはさいこうです!
それから勇者は俺を見てきた。
「あっちのお姉ちゃんも中々ドスケベボディ持ってるのに宝の持ち腐れだよなぁ」
「あの子は真面目だから。モミモミは期待しない方がいいよ♡」
そう言ってからヘレナな思い出したようにスマホを取り出して俺に聞いてきた。
「イキシアは連絡先全部消したんだっけ?」
「消してたよ」
「じゃあ、私も消しちゃおー。私のスマホに登録されてる連絡先はイフリくんだけでいいもんね」
「まじか」
「だってイフリくん妬いちゃいそうだし?」
「俺の心はこのレイの背中くらい広いよ」
「それは広いの?」
すっ。
スマホを見せてきたヘレナ。
俺以外の連絡先が消えていた。
「これで、私はイフリくんのものだよぉ♡」
「おねぇぢゃん!」
その時淫乱勇者が俺たちに話しかけてくる。
「あー、そうそう。言い忘れていたがな。この辺り出るらしい」
「なにが?」
「ドラゴン」
レイが叫んだ。
「えぇぇぇぇ?!!ドラゴン?!」
「何を驚いてる?君もドラゴンだろ?」
「ワイバーンとドラゴンはぜんぜん違いますよー」
バサバサ。
飛びながらそう言ってくる。
「うぅ、怖いよぉ」
そう言ってるレイの背中を撫でる勇者。
「安心してくれ。私たちがどうにかするから」
「おー、さすが勇者」
「しかし、困ったよね」
ヘレナが口を開いた。
「遠距離魔法を使えるイキシアは充電中、そして、この不安定な空の上でドラゴンとの戦闘なんて面倒だよ」
インラーンが腕を組んだ。
いや組もうとしたけどおっぱいが邪魔でうまく組めてない。
誤魔化すように腰に手を当ててた。
「確かにな。私たちの不利な戦況ではある」
ヘレナがくすくす笑いながら話しかけてくる。
「見た?おっぱい硬すぎて腕組めてないよこの子」
ヘレナは俺の両肩に手を置いて囁くように言った。
「モミモミして柔らかくしてあげないとね?イフリくぅん」
「お、そうだな」
とは言ってみたがこのインラーンが乗ってくるとも思えな……
「そうか。おっぱいが硬いから腕が組めないのか」
そう言うと鎧を脱ごうとしたインラーン。
「イフリート殿揉んでくれないか?」
「そりゃまぁ揉ましてくれる揉むけど」
「よろし……」
インラーンが言いかけた時だった。
「ひぃ、ドラゴンが前にいますぅ……」
レイの声。
前を見るとドラゴンがいた。
俺たちの視線のかなり先の方。
二つ山が並んでるんだけどその間にいた。
「おぉ、初めて見たけど迫力あんなぁ、ドラゴンは」
「モンスターとしての強さは上の方だからねぇ」
ヘレナはそう言ってインラーンに目を向けた。
「どうする?リーダー。指示出してよね」
「ふむ。迂回して進もう。ドラゴンは滅多なことで手を出してこないと聞く」
レイが頷いてドラゴンから距離を取りながら飛行していく。
その時だった。
『あんのー』
どこからか声が聞こえた。
俺たちはお互いの顔を見た。
「私じゃない」
「私でもないな」
ヘレナ達じゃないらしい。
となると
『ドラゴンです』
名乗ってきた。
「お、おう。ドラゴンさんがなんか用か?」
『ドラゴンイーツ頼んだんですけど、まだ時間かかりそうですかね?』
「いや、知らないよ」
『おかしいなぁ』
そう言ってドラゴンは考える人みたいなポーズを取っていた。
『おなか空いたなぁ』
ていうかこのドラゴン良い奴そうじゃね?
「そこどいてくんない?俺らその先に用があるんだよね」
『お腹減って動けないんですよー』
そう帰ってきた。
「食べれればなんでもいいのか?」
『はい』
俺はインベントリからいくつか弁当を取り出した。
「イフリート殿。それはあなたの食料だろ?」
「現地調達できるだろ。俺田舎育ちだから火通せば大体のもの食えるよ」
「そうなのか?すごい便利な体だなぁ」
俺はそのままレイにドラゴンのところまで向かってもらうことにした。
で、ドラゴンに弁当をくれてやる。
『わぁ、ありがとございます!これで動けます!』
ノソノソ。
動いて進路からどいてくれたドラゴン。
そこでドラゴンは話しかけてきた。
『もぐもぐ。この先行くんですか?』
「ヒンヌってとこ行くんだけど」
『あー、あそこですか。もぐもぐ』
弁当を口の中に流し込みながらドラゴンは口を開いた。
『なんか最近反乱軍ってのが出来て大変みたいですよ、あそこ』
心当たりがあるのかインラーンはなにかを考えるようにしていた。
『行くならお気をつけてくださーい。あっ、そうそう。合言葉があるらしいですよ「ヒンヌ最高」っていうのが合言葉らしいです、村の人と仲良くなれるそうです』
ノソノソ。
俺たちを素通りさせてくるドラゴン。
『お気をつけて。お弁当ありがとございました。おいしゅうございました』
そのまま進んでいくとヘレナはインラーンに聞いた。
「反乱軍って?」
「私たち勇者が戦果を上げないから1部の人間たちが新たな勇者になろうとした活動を反乱と呼んでる。それの軍だ」
「ふぁ〜」
あくびが出た。
「インラーン。そういう面倒な話すると寝ちゃうよイフリくんは」
「すまない」
俺はインラーンに聞いた。
「もっと簡単に説明して?」
「これから向かう村には偽物の勇者がいるそうだ」
勇者かー。
偽物だとしても俺にはよくしてくれそうだなぁ。
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