第8話 イフリート、出世、勇者パーティ、入る

しばらくすると王の軍勢がやってきた。


そして、この家に突撃してきて太ったおっさんとその部下たちを逮捕していった。


「俺が馬鹿だから何が起きてるのか分からないのか?」


「ちゅっちゅ」


指を横に振るイキシア。


「違いまちゅよ。分かんないのが普通っちゅ。時間の関係でなにも説明してないから仕方ないっちゅ」


そう言うと、ポン。


魔法が解けたように、女の子の姿に戻った。


顔を見てみると、


「うわ、イキシアだ。やっぱり勇者パーティの。かわいー!!」


俺がそう言うとイキシアがキスしてきた。


「ちゅっちゅ♡」


いきなりのことで現実感薄かったけど。


あー、俺今キスされたわ。


「それより服着ろよ」


そう言って俺はズボンとタキシードを脱いで渡してやった。


下半身パンツの変態男がひとり増えたけど、全裸の女がいるよりましだろう。


「愛してるのちゅっ♡」

「Fooooooooooo↑」


ひとりで興奮してるとイキシアは言った。


「ありがとうね。イフリくん」

「あ?なにが?」

「一緒に悪党を倒してくれて♡」

「滅相もございませんよイキシア様。イキシア様のためならこのイフリくんは命すら惜しくありません!」

「じゃあキスして♡」

「愛してるのちゅっ♡」


そんな事をしていた時だった。


「イキシア、無事だったのか」


タッタッタッ。


巨乳アーマーの女が走ってきていた。


「出たなっ!悪の巨乳アーマー」


俺がそう言うとイキシアは止めてきた。


「敵じゃないからやめてっ。勇者だよ」

「え?この淫乱ドスケベボディで勇者が務まるのか?」


そう聞くと勇者は呟いた。


「淫乱?ドスケベボディ?」


あー。

どうやら自分のことを言われてると気付いてないらしい。


そんな会話をしているとキゾークがやってきた。


「ふぉっふぉっふぉ。ちょっと計画とは違ったが、よくやってくれたぞ」

「計画?なんの事か分かんないけど。そっちこそですよキゾークさん。撃たれた時は死んだかと思った」

「なに、ワシは有能じゃからな。そう簡単には死なんぞ」


ふぉっふぉっふぉ。そう言ってキゾークさんは言ってきた。


「次からワシが勇者パーティの面倒を見ることになっておる。そこでワシは勇者パーティにお主を加えたいと思っておる」


俺にそう言ってきた。


「うぇっ?!俺が勇者パーティに?」


思わず人差し指で指してしまった。


「うむ」


おぉ、マジかよ。

勇者パーティは入れるだけで超一流って言われてるようなパーティだけど。


「ほんとに?イキシア嬉しいのちゅっ!」


そう言ってイチャイチャしてくるイキシア。


「ふぉっふぉっふぉっ。若いのう。後は若いもの同士でやらせようかのう」


そう言ってキゾークさんは王様の方に戻っていった。


それから勇者は俺を見てきた。


「でも役職はどこに配置すればいいのだろう?」

「あ、いや。そんなことより勇者さん。あんた名前は?まだ聞いてないんだけど」

「私か?私はインラーン。勇者インラーンだ」


ド直球な名前だなっ?!



キゾークの家に帰ってきた。


すっかり日が暮れていた。


部屋に戻るとレイが待っていた。


「おかえりなさい。イフリさん」

「あー、うん」


半分くらい意識がない状態で返事をした。


「どうしたんですか?イフリさん」

「あ、いや。それがさ俺勇者パーティに入ることになったんだよ」

「えぇ?!あの勇者パーティに?!」


自分の事のように喜んでくれるレイ。


「おめでとうございます!勇者パーティはすごいですね」

「あーいや、たしかにすごいんだけど。訓練とかめんどくさそうー」


ってのが俺の感想である。


まぁやってみないと分かんないけどさぁ。


そんな会話をしていた時だった。


コンコンコンコンコンコン。


扉がノックされた。


ガチャっ。


扉が開いた。


そこにいたのはイキシアだった。


「イフリくん。明日お出かけしよ」


そう誘ってきた。


「お出かけ?」

「スマホ契約しにいこうよ」

「へ?スマホあんの?この世界?」

「えーあるよスマホ」


俺は田舎の辺境で育った。


そのせいだろう。

スマホがあるなんて知らなかったし。


(そもそもこの世界のこと知らないんだよなぁ俺)


父親は偏屈なやつで、俺に強さ以外のことを教えなかったから俺は何も知らない。


しかし、スマホかぁ。


あると便利だよなぁ。


「うん」

「うん。また明日誘いに来るから」


照れたような感じでイキシアは出ていった。


「さてと」


俺は立ち上がってサングラスを手に取った。


「どこいくの?」


「風呂。レイも行くだろ?」

「うん!」


キゾーク邸の風呂だが客人に使わせるものと、家の人間が使うものと分かれているらしい。


んで俺はもちろん客人の方に行く。


「うんしょ」


レイが服を脱いだのを確認して俺はサングラスをかけながら風呂に入っていく。


ガラッ。


(おー、風呂の湯気にも効果あるんだな)


チラッ。

レイの方を見ると色んなところが丸見え!


このサングラスすげぇ!


まぁ、そんなことは置いといて俺は先に体を洗うことにした。


日本人たるもの先に体を洗ってから湯船に入るものだからな。


洗うのに邪魔になるサングラスはその辺に置いておく。


「ふぅ……」

「このサングラスかっこいいですよねー」


その時、レイが俺のサングラスに手を伸ばした。


「分かる?サングラスかっこいいよな?」


レイがサングラスをかけた。


「湯気が消えました!」

「ははは、すごいだろ」


俺がそう言うとレイが俺の体をつんつんし始めた。


「つんつん、ブラブラしてるー。私たちの尻尾みたーい」


珍しいのかそんなことを言っている。


「こらこら、触らないように」


そう注意したときだった。


ガラッ。


風呂場の扉が開いた。


声が聞こえてくる。


2人分の声。


「すまなかったな、私があのオヤジの計画に気づかず、言いなりになってしまっていた」

「気にすることないよ。結果的にみんな無事だったんだしさー」


両方声で分かった。


淫乱ドスケベ巨乳勇者と、ネズミの清楚巨乳のイキシアだった。


思わず声の聞こえた方に目をやると見えた。


ユサユサ揺れている大きなお胸が!


「わー、おっきくなりましたー」


つんつんしてくるレイ。


「どうなってるのー?これー」


ツンツンツンツン。


そのとき、更に勇者様がブルンブルン揺らしながら歩いてくる。


「何が大きくなったのだ?」

「イフリさんの尻尾が大きくなっちゃった!」

「尻尾?」

「うん。人間って前に尻尾がついてるんだね。しかも大きくて固くなったよ」


俺が固まってるとイキシアもやってきて口を開く。


「あー、あのとき咄嗟にそれにしがみついたけど、たしかに凄かったっちゅ〜。ちゅっちゅちゅ」


小悪魔みたいな表情を作るイキシア。


「今度はイフリくんが私にしがみついてみないでちゅか?♡しがみついて欲しいなぁ♡」


やばい。

誘われている。


どうすればいい?


俺はチェリーボーイなんだが?!


助けてドスケベ勇者!どうしたらいいの?!

ドスケベ勇者に目を向けるとドスケベな表情になっていた。


「世話になった。私にできることがあれば、なにかさせて欲しい」



どうやらこの勇者パーティの好感度は初めからMAXなようです!










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る